
横浜港・山下ふ頭(横浜市中区)の開発にあたり、「カジノ反対」の急先鋒(せんぽう)に立つ横浜港運協会の藤木幸夫会長。市が2015年にまとめた開発基本計画にはカジノを含む統合型リゾート(IR)は記されておらず、「カジノは街をつぶす」と強調する。根底にあるのは「市民の暮らしに貢献したい」との思い。横浜らしいハーバーリゾートの実現へ-。港湾人が主導し、市と協調で山下ふ頭の開発に臨む覚悟だ。
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国内最大の展示場「東京ビッグサイト」(東京都江東区)の展示会では海外から数多くのビジネスマンが訪れ、900億円もの商談を目の前で繰り広げていた。国際展示場を実際に見てきて、こんなにチャーミング(魅力的)な場所があったことに驚いた。
横浜港運協会は、MICE(国際会議や展示会など)の中核施設として国際展示場を事業の中心に据えた山下ふ頭の開発ビジョンを提案している。
国際展示場を広く横浜港の関係者で学ぼうと、18日に協会の拡大理事会と公開講演会を中区で開く。カジノは置いておき、山下ふ頭を巡る議論を、市の「山下ふ頭開発基本計画」に明記されたハーバーリゾートの実現に向けた当初の本筋に戻したい。
観光と貿易
横浜港は明治以来、日本を代表する貿易港として発展した。アジア各地からの輸出品を積んだ貨物船であふれ、まさに黄金(こがね)色の横浜港だった。
これらの貨物船はアジアで最後に横浜港に寄港し、生糸を積んで米国へと向かった。海上コンテナの時代になってからは、物流の中心は横浜ベイブリッジの外側にシフトしてきた。