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【台風15号】「最強」の爪痕深く 横浜港は海難事故続発

社会 | 神奈川新聞 | 2019年9月9日(月) 22:53

台風15号による波で押し流され、折り重なる中古車=9日正午ごろ、横浜市中区の南本牧ふ頭
台風15号による波で押し流され、折り重なる中古車=9日正午ごろ、横浜市中区の南本牧ふ頭

 首都圏に上陸した過去最強クラスの台風15号は県内に大きな爪痕を残した。記録的暴風が猛威を振るい、道路や鉄道などの交通網をまひさせ、市民生活を直撃。港湾施設を相次ぎ破壊し、工場を操業停止に追い込むなど影響は広範囲に及んだ。

 台風が最接近した9日未明、国内屈指の物流港・横浜港では船舶が橋や港湾施設に衝突する海難事故が続発した。強風でいかりが利かず船舶が流される「走錨(そうびょう)」や、係留索の切断による漂流が相次いだためだった。漂流は川崎港や横須賀港でも発生した。

 第3管区海上保安本部(横浜)や横浜市港湾局によると、横浜港の主力コンテナターミナルの南本牧ふ頭と本牧ふ頭を結ぶ「南本牧はま道路」(同市中区)の橋に貨物船が衝突。損傷し、通行止めとなった。復旧の見通しは立っていない。

 大黒ふ頭につながる大黒大橋(同市鶴見区)には、漂流した大型台船が衝突。三菱重工業本牧工場(同市中区)では作業船4隻が流され、うち3隻が構内で衝突、沈没し、油が流出した。

 本牧海づり施設(同市中区)は、管理棟が波の直撃を受けて外壁に穴が開き、階段が傾くなど激しく損壊。沖に向かう桟橋(長さ約100メートル)が落下しており、海保は漂流したタンカーが衝突したとみている。管理担当者の男性は「一歩間違えれば大惨事。未明だったので施設に誰もいなかったのが不幸中の幸い」と話した。南本牧ふ頭では中古車オークション会場の駐車場で百台規模が高波に押し流され、車体が折り重なった。

 一方、東京湾口に位置する三浦市では、開設期間を9月末までとしていた三浦海岸海水浴場(同市南下浦町上宮田)で海の家が強風により倒壊した。さらに、飛ばされた屋根が付近の鉄塔を倒し、国道134号が一時通行止めになった。


鎌倉市と逗子市をつなぐ小坪隧道の逗子側で起きた倒木=9日午前10時20分ごろ、逗子市
鎌倉市と逗子市をつなぐ小坪隧道の逗子側で起きた倒木=9日午前10時20分ごろ、逗子市

 被害に遭ったライブハウス「OTODAMA SEA STUDIO」店主の染谷美佳さん(27)は「12日からは公演を予定していたが開催は難しそう」。三浦海岸海水浴場運営委員会の大島敬三委員長は「海の家の開設に長く関わってきたが、これほどの被害は初めて」と声を落とした。

 逗子市では9日未明、同市と鎌倉市を結ぶ小坪隧道(ずいどう)で土砂崩れと倒木が発生。県横須賀土木事務所は全約150メートルを通行止めにした。樹木の撤去に時間がかかるため、復旧のめどは立っていない。

日産工場が操業停止

 台風15号の影響で、日産自動車(横浜市西区)は9日、小型車や電気自動車を生産している「追浜工場」(横須賀市夏島町)と、エンジンなどを製造している「横浜工場」(横浜市神奈川区)、車両や部品の輸出入拠点である「本牧専用埠(ふ)頭(とう)」(同市中区)の3拠点で操業を停止した。

 いずれも数カ所で冠水したためという。追浜工場と横浜工場は午後から操業を一部再開したが、本牧専用埠頭は再開のめどが立っていない。

 この日、JRと私鉄が始発から運休し、運営に影響した商業施設もあった。横浜高島屋(同市西区)は通常通り午前10時に開店したが、従業員が開店時間までに出社できなかった店舗もあり、衣料品など約3割の店が開店を遅らせた。また、道路の通行止めなどの影響で物流に遅れが出たことから、物産展の一部商品が届かない事態に見舞われたほか、屋上のビアガーデンでビールサーバーが破損したため、9、10の両日は営業を見合わせるという。

 県内の郵便局では、停電や社員が出勤できない影響で、横浜、横須賀、藤沢市内などの26局が午前9時に営業開始できなかった。

 
 

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