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「表現の不自由展かんさい」の軌跡

文化・科学 | 神奈川新聞 | 2022年3月22日(火) 17:25

 2021年夏、大阪市で3日間の会期を全うした「表現の不自由展かんさい」。各地で「表現の不自由展」の開催が妨害される中、会場の使用が一度は取り消されながらも司法判断を得て、市民らの連帯で実現した。その軌跡をまとめた報告書が、今年2月に発行された。なぜ美術展を開くだけなのに、闘わねばならなかったのか─。参加した市民らの疑問は、現代の日本社会に大きく突きつけられている。

 かんさい展開催の契機は、19年8月に国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画として参加した不自由展が一時中止となったことだった。表現の場から排除された作品を集めた不自由展の展示には、日本軍「慰安婦」問題や天皇制を取り上げた作品への攻撃が相次ぎ異例の中断となった。

 「なんでこれがアカンねん」「ヘイトスピーチと同じ現象や」。憤りを感じた市民4人が同月、大阪・鶴橋の居酒屋で、大阪での開催を誓ったという。

 その後、4人は不自由展の実行委員会の支援も受けかんさい展の実行委員会を設立。21年7月16日から3日間、府立施設での開催を決めた。ところが開催が発表されると、右翼団体の街宣活動やインターネットでの抗議が相次ぎ、施設側は使用承認を取り消した。

 結局、実行委が施設の指定管理者への処分取り消しを求め大阪地裁に提訴し、地裁が承認取り消しの効力停止を決定。高裁、最高裁も指定管理者の抗告を棄却し、開催がかなった。

 報告書は当時の報道記事や参加作品の紹介とともに、実行委や学識者らの思い、来場者が寄せた多数の声援を記録。政治による歴史修正主義的な動きが右翼などの抗議に「お墨付き」を与え、日本の加害の歴史を扱う表現の排除が相次ぐ実態も解説、関連年表も掲載する。

 報告書はA4判でフルカラー110ページ。送料込みで1冊1250円。購入は専用フォーム(https://x.gd/Krl8j)で。問い合わせはハンマウム出版のメール(areumkws@gmail.com)。

 
 
 
 

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