県内唯一の活火山、箱根山(箱根町)で観測史上初の噴火が起きてから、29日で4年となった。火山活動はその後、沈静化したが、火口が形成された大涌谷から噴出するガスの勢いが弱まらないまま再び活発化。今年5月、噴火警戒レベル=自助のヒント参照=が1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)へ引き上げられ、警戒が続いている。
4年前の噴火は「ごく小規模」で、2015年6月29日から30日かけての火山灰などの噴出量は、関係機関の調査で40~130トンと推定された。降灰の範囲も大涌谷の北西を中心として4キロ以内にとどまったとされ、噴火による直接的な被害は出なかった。
噴火に伴い、3(入山規制)まで上げられた噴火警戒レベルが1に下がったのは、同年11月20日。その後も、大涌谷の噴気と火山ガスの濃度が低下しない状態が続いていた。
今年3月中旬ごろから山体膨張を示す地殻変動が捉えられるようになり、微小な火山性地震も増加。県温泉地学研究所は「4年前ほどは活発ではない」との見解を示すが、5月19日に警戒レベル2とした気象庁は「大涌谷の火口域に影響を及ぼす噴火が発生する可能性がある」として引き続き警戒を呼び掛けている。
今後の活動を見極める上で鍵となるのは、山体膨張の地殻変動だ。地下にたまっているマグマの膨張や上昇などを示す現象で、これが収まると地震活動も低下すると考えられている。
警戒レベルの引き上げから1カ月となった今月19日の記者会見で、気象庁火山監視・警報センターの西脇誠所長は「膨張が続いている限り、地震の発生が増減しながら継続する」と述べた。