サッカーの天皇杯全日本選手権(日本サッカー協会、Jリーグ主催、共同通信社、NHK共催)第5日は22日、川崎市の等々力陸上競技場などで3回戦12試合が行われ、J1勢で年間順位1位の川崎はJ2千葉を延長の末、4-1で退けて16強入りした。横浜M、湘南、鹿島、神戸、大宮、鳥栖なども勝ち進み、J2の横浜FCと清水も勝った。日本フットボールリーグ(JFL)のホンダFC(静岡)はJ3の盛岡(岩手)を2-1で破った。
4回戦は11月9、12日に開催。アジア・チャンピオンズリーグ出場の広島、G大阪、浦和、FC東京が加わり、10月4日に組み合わせ抽選が実施される。
川崎 4−1 千葉
(前 1−0|後 0−1|延長 1−0|延長 2−0)
川崎が延長の3ゴールで振り切った。1-1の延長前半終了間際、エウシーニョの右サイドからのクロスを車屋が頭で決めて勝ち越し。同後半にも大久保が2点を加えた。千葉は同点に追い付いたものの、最後は足が止まり力尽きた。

エースしっかり仕事
格下のJ2千葉に苦しめられながらも、延長戦の末に勝利をつかみ取った川崎。風間監督は「予定より時間が長すぎたけど、よくやってくれた」と選手をねぎらった。
1-1の延長前半15分に車屋がヘディングで勝ち越しゴール。これで一気に押せ押せムードになると試合を締めたのはやはりこの男だった。
延長後半3分、キャプテンマークを巻いた大久保が味方のスルーパスに抜け出すと、ドリブルで独走。相手GKとの駆け引きを制してネットを揺らした。その7分後にはゴール前のこぼれ球に左足を振り抜き、4点目を決めた。
「適当にやっただけ」。淡々と振り返ったが、17日のリーグ戦で退場処分を受け、次節横浜M戦は出場停止となるエースが、この日はしっかり仕事を果たした。
けがで長期離脱していた奈良と小宮山がそろってフル出場し、森本は先制ゴールで起用に応えた。「きょうの目的は試合に勝つことと、しばらく出ていなかった選手を使うこと」と指揮官が話すように、この勝利は佳境を迎えるリーグ戦にもつながるはずだ。
湘南4発圧勝 17歳斉藤プロ初ゴール
湘南 4−0 徳島
(前 2−0|後 2−0)
湘南は前線からプレスをかけて攻撃に人数を割く戦術で優勢に立ち、4ゴールを奪って快勝した。前半早々に藤田祥が先制点を決め、山田や斉藤が着実に加点。徳島は相手守備をかいくぐる場面が少なく、ミスも目立った。

将来担う才能輝く
クラブの将来を担う才能が輝いた。高校3年の斉藤がプロ初ゴール。育成組織育ちの背番号32は「充実した試合だったけど、満足できる内容じゃない」。あどけなさの残る表情の奥で、心の強さを思わせた。
2-0の後半5分。山根の左クロスを逆サイドの藤田征が落とす。空いていたスペースへ走り込んで右足を振り抜いた。ゴール左隅へ突き刺した17歳は「あそこまで詰めることができて良かった」と笑顔で話した。
2種登録されている今季の5月、プロ契約を結び、ここまで公式戦8試合に出場。「ボールを奪う回数がストロングポイント」というが、各年代の日本代表で活躍してきたMFは「何回かミスもしたけど、前へ前へ行けた」と結果を出した。
J1では10連敗中だが、この日は斉藤も含めて高卒ルーキー神谷と、来季のトップ昇格が決まっている石原の10代3選手が先発し、4得点で圧勝した。明るい材料を示した斉藤は「できたこと、できなかったことを振り返ってまた練習していきたい」と誓った。
俊輔先制FK、横浜Mが完勝
横浜M 4−0 東京V
(前 3−0|後 1−0)
横浜Mが完勝した。前半18分に中村が直接FKを決めて先制。26分に中町が頭で追加点を挙げ、ロスタイムにカイケがPKを決めた。後半も運動量を落とさずに攻め立てた。東京Vは好機をつくったが、シュートの精度が低かった。