
就任1季目、横浜Mのモンバエルツ監督が志向する縦へ速い攻撃は意識付いてきている。
典型的だったのは5月10日、第11節新潟戦。前線へのボールをFWアデミウソンが収め、トップ下の三門が走り寄って受ける。スピードを上げて複数の選手が攻め込むと、MF中町のラストパスを三門が右足ダイレクトで決勝点を奪った。
「コンセプト通りのゴールが多くなったのは間違いない」。下條チーム統括本部長はマリノスの新たなスタイルに自信を見せる。ただ、一方で拙い試合運びも目立ったのも事実だ。
DF中沢は「一呼吸置いたプレーが足りない。攻守で慌てているシーンが多かった」と指摘する。中盤の4連勝後、G大阪、甲府と続いた2試合は追い付かれてのドロー。ボール保持率を上げて逃げ切る、しぶとさがまだない。
首位浦和と勝ち点15差の6位。この差を埋めるために、やはりボールの落ち着きどころとなる大黒柱の復帰が待たれる。開幕前の左足首手術、右太ももの負傷でMF中村のリーグ戦出場は3試合に終わったが、第1ステージ最終節に途中出場。復活の道筋は見えてきている。
今後はチームトップの4点を奪ったアデミウソン、1得点のみだったMF斎藤という非凡な攻撃の駒を中村がどう操り、巧みに試合を運べるかが焦点だ。第1ステージはゼロだったセットプレーでの得点も、その左足が担ってくれるはず。
フランス人監督は「俊輔は長い時間休み、年齢的な要素もある。元のリズムを取り戻すことは簡単ではない」と楽観視しないが、2013シーズンのリーグMVPは臨戦態勢だ。「今まで通り自分だけしかできないプレーを表現していく」と、第2ステージでの復権を思い描く。