J1横浜Mのブラジル人FWレオセアラが加入1年目で2桁得点に王手をかけている。8月は6得点3アシストで初の月間MVPを獲得。「チームの力になるプレーをどんどんしていく」という好調なアタッカーが首位川崎を猛追するチームをけん引している。
9月11日の第28節・広島戦。後半13分に敵陣中央で前田が相手のファウルを誘うと、「自信がある。蹴らせてほしい」とキッカーに名乗り出た。ゴール正面約30メートルの位置から右足をコンパクトに振り抜き、ネットを突き破るような強烈な弾道で右上に突き刺した。
もともとは左利きの扇原が蹴る予定だったが、「お願いして譲ってもらった」という。来日初のハットトリックを達成した8月21日の仙台戦では、ペナルティーエリア外から2点目を決めるなど、ミドルレンジのシュートにも自信がある。
2014年に母国のECビトーリアでプロ生活を始め、16年には当時J3だった琉球でプレーして23試合2得点。その後は帰国して期限付き移籍を重ね、得点能力を磨いてきた。
新型コロナウイルスの水際対策でチーム合流は4月下旬と出遅れたものの、途中出場を重ねながら戦術理解度とコンディションを上げてきた。マスカット監督の就任後はリーグ戦7試合に先発。「特別何かを変えたことはない。出場時間が延びてチャンスをつかんでいるだけ」と好調の要因を冷静に分析する。
次節で対戦する名古屋は今季の無失点試合数を18とし、年間52試合制だった1995年のマリノスが打ち立てたリーグ記録に並んでいる。堅守の難敵を下して、2年ぶりの首位浮上なるか。「チームのためにプレーしていれば自然と得点は生まれる」と涼しげな表情が頼もしい。(木田 亜紀彦)