川崎5―0G大阪
【評】川崎が攻撃力を見せつけて快勝した。前半22分にレアンドロダミアンが先制、前半終了間際にはCKから家長が決めた。後半も攻め手を緩めず家長らが3点を加えた。G大阪はボールを奪っても川崎の素早い切り替えの守備に苦しんだ。
川崎 5-0 G大阪
(前 2-0|後 3-0)
【コーナーキック】大一番でも川崎らしさ全開
美しい光景だった。今季限りで引退するチーム最年長の中村が銀色のシャーレを等々力の夜空に掲げる。きらびやかなテープが舞い、川崎の覇権奪回を告げた。
未曽有のコロナ禍に見舞われたシーズン。「ゴールをたくさん取って日本をどんどん盛り上げる」という鬼木監督の大号令で突き進んできたチームは大一番でも鮮やかにネットを揺らし続けた。自在のパスワークで相手を揺さぶり、クロス、セットプレー、カウンターと多彩な攻め手で怒濤(どとう)の5得点だ。
4試合を残してのリーグ制覇は、2010年の名古屋(3試合)を上回り史上最速。同一シーズンの連勝記録を2度も更新し、歴代最多となる勝ち点75まで積み上げてみせた。
コロナ禍も一体感揺るがず
「選手が一丸となって目標に向かって進んでくれた」と指揮官は胸を張る。緊急事態宣言が解除され、チーム活動を再開した6月初旬。最初のミーティングで鬼木監督は「たとえ感染者が出ても誰かが悪いわけじゃない。チーム全員で家族として支え合っていこう」と訴えた。それぞれが予防策に気を配り、一人の感染者も出さずに揺るぎない一体感で乗り切った。
シーズン終盤、キャリア18年を川崎一筋で貫いてきた中村の突然の引退表明にも、皆で涙したというチームの結束はより深まった。選手だけではなくクラブスタッフも「憲剛さんと一緒に優勝を」と口をそろえ、目標のゴールテープを切った。
Jリーグ歴代最強の呼び声も高く、常勝の風格が漂ってきたチームが次に狙うのは、国内三大タイトルで唯一手にしていない天皇杯。酸いも甘いもかみ分けてきたクラブの功労者を送り出す大団円へ、残り試合も圧倒的な強さで駆け抜けていく。
川崎ひと言
鬼木監督の話 本当にうれしいのひと言。今までの経験を捨て、失敗を恐れず新しいものにチャレンジした。全員がライバル意識を持ちながら励み、ピッチに立てば仲間意識が強かった。
レアンドロダミアン(前半22分に先制点) タイトル獲得をゴールという形でサポートすることができた。
斎藤(後半にダメ押しの5点目) チームメートに感謝してゴールを喜びたい。みんなで一丸となって取ったタイトル。貢献できてよかった。
登里 ほっとしている。何度取っても喜びは大きい。最後に天皇杯も優勝して良い形で(中村を)送り出したい。
大島(キャプテンマークを中村に渡す) 憲剛さんに着けてほしかった。全員でチームを強くするモチベーションを持って臨めた。
鄭成龍 初優勝した時を思い出した。(中村の引退は)すごく残念だが、天皇杯でトロフィーを掲げてもらえるように気持ちを一つにしていきたい。