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陸上男子三段跳び・長谷川大悟
神奈川からリオへ 熱意で未来切り開く

その他スポーツ | 神奈川新聞 | 2016年8月1日(月) 12:36

リオデジャネイロ五輪で日本記録更新を狙う日立ICTの長谷川
リオデジャネイロ五輪で日本記録更新を狙う日立ICTの長谷川

 特別な才能はなくていい。熱意があれば夢はかなう。無名の存在からリオデジャネイロ五輪代表をつかんだ陸上男子三段跳びの長谷川大悟(26)=日立ICT。日本勢として3大会ぶりに出場するジャンパーは南米の地で多くの子どもたちの希望の星になる。

 「びしばしやってください」。長谷川が陸上部の新任コーチに頭を下げて指導を請うたのは桐蔭学園高2年の春だった。

 現在も指導する八木祐介コーチ(36)は「当時の幅跳びの記録は5メートル40くらい。女子の県大会入賞に届くかどうかというレベルで、何言ってるんだろうなって思いました」と苦笑するが、ただならぬ熱に触れたこともまた覚えている。

 仏向小時代はパソコンクラブに所属し、横浜橘中で陸上部に入ったのも友人に誘われたからだ。「スポーツは苦手。球技は何もできない」という少年は桐蔭学園高に進んでも主力ではなかった。だが、やるからには何かを残したい。16歳は腹をくくっていた。

        ◇ ◇ ◇

 八木コーチが注目したのは三段跳びだった。

 硬いタータンで助走の力を直で受ける1歩目はときに血尿が出るほどの衝撃があり、それでも、減速せずにスピードを2歩目、3歩目につなげなければならない過酷な競技はセンスだけでは勝てない。競技人口も少ないし、技術を磨けばもしかしたら…。「自主的にやりたいとは思っていなかった」と本人は笑うが、2人の歩みはとにもかくにも始まった。

 だが、当時の長谷川には瞬発力はないし、そもそも土台となるべき体力がない。「今では到底させられない」。八木コーチは過酷なトレーニングを課した。

 足腰などに高負荷がかかる坂道でのハードル練習や馬跳び、ウサギ跳び…。「3キロくらいのメディシンボールを200回投げさせられたこともあった。あれは果てしなかった」。それを支えたのは何かを残したいという長谷川の熱意にほかならなかった。

            ◇ ◇ ◇

 あの春から10年。以降も2日と休まず練習を積んできた長谷川の姿はことし4月、織田記念国際が行われた広島市にあった。2本目の跳躍で日本歴代4位タイとなる16メートル88をマーク。国際陸連が定める五輪参加標準記録(16メートル85)を超えるビッグジャンプだった。

 日本の第一人者にまで成長した。「前々から16メートル85を跳ぶなら(日本記録の)17メートル15を跳びたいと思って練習してきた」。言葉も堂に入る。

 視線の先にはアジア記録の17メートル59がある。道は遠いが「今自分が磨くべき方向性に迷いはない」と言い切り、「五輪は何にも代え難い試合。楽しみな気持ちもあるけどあくまで通過点。東京があるので」と4年後も見据えている。

 「真面目にストイックにやってきた長谷川を見て、育ってくる人間が出てきてほしい」。八木コーチは努力の人がリオデジャネイロで夢を一つかなえる瞬間を、胸を高鳴らせて待っている。

 

はせがわ・だいご 陸上三段跳び日本代表。日立ICT所属。横浜橘中-桐蔭学園高-東海大卒。高校2年で走り幅跳びから三段跳びに転じ、3年時の2007年、秋田国体で2位。東海大3年時に日本インカレで初優勝を飾った。今年4月の織田記念国際で五輪参加標準記録を突破する16メートル88をマークし2連覇。6月の日本選手権で2位に入り同種目の日本勢としては3大会ぶりの五輪出場を決めた。173センチ、60キロ。横浜市保土ケ谷区出身。26歳。

 
 

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