

リオデジャネイロ五輪の柔道男子日本代表は22日、横浜市の桐蔭横浜大で代表決定後初の強化合宿を報道陣に公開し、男子60キロ級で五輪初出場となる東海大相模高出身の高藤直寿(パーク24)は「4年に1度の夢舞台に選んでいただいた。死に物狂いで頑張る」と語った。
22歳の高藤は多彩な技と機敏な動きが持ち味で、3年前に世界王者となった。五輪では競技開始日に登場するため「僕次第で金メダルの数が変わると感じている。インパクトのある柔道で勝ちたい」と強気に語った。
29日に決定する100キロ超級を除く代表6人のうち、100キロ級で同高出身の羽賀龍之介(旭化成)が左膝の故障で練習には不参加。18日から始まった合宿は東海大や国士舘大などへの出稽古中心で27日まで行われる。
◆死に物狂い 今こそ
この4年間、天性のひらめきからの奇襲技が世界に通用することを証明してきた。ただ、高藤はさらに技に飢えている。「もっと幅を広げたい。変則的な技はほとんどできているので背負いや大外刈り、内股などを体になじませたい」。ここ一番の引き出しが増えればメダルはぐっと近くなる。
根底には、最終選考の全日本選抜体重別選手権で優勝を逃しながらも代表の座に就いたからこその責任感がある。そして、22歳には振り払いたい苦い過去も。
連覇を狙ったものの、3位に終わった2014年の世界選手権。大会期間中に練習などへの遅刻を繰り返し、規律違反で強化指定ランクを降格させられた。本人はもちろん、高校、大学の先輩でもある井上康生監督(37)にも頭を丸めさせてしまった。
「調子に乗っていた。監督にも柔道ファンにも迷惑を掛けた」。だから「金メダルを取って初めて」胸を張れる。
「お前に賭けた。覚悟を持て」。尊敬する井上監督の言葉に熱くならないはずがない。高藤は言った。「中途半端な試合をするのは裏切りだと思う。金メダルは宿命。『死に物狂い』って中学、高校でも言ってきたけど、本当にそれをするのは今」