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板飛び込み・坂井丞
神奈川からリオへ メダルへのダイブ(上)4年越しの思い結実 

その他スポーツ | 神奈川新聞 | 2016年4月19日(火) 11:23

リオデジャネイロ五輪に初出場する坂井。技の修練に余念がない =相模原市立総合水泳場
リオデジャネイロ五輪に初出場する坂井。技の修練に余念がない =相模原市立総合水泳場

 リオデジャネイロ五輪男子板飛び込み代表を射止めた坂井丞(ミキハウス)。4年前のロンドン五輪では出場枠をつかむも派遣基準を突破できず涙をのんだ。あれから4年。23歳は一回り大きくなって焦がれた舞台へ立つ権利を手に入れた。

 2月22日。五輪会場と同じリオデジャネイロの屋外プールで行われた、五輪最終予選を兼ねたワールドカップ(W杯)。日本の次世代エース坂井は、原因不明の不調に苦しんでいた。

 「諦めて帰ろうとしていたぐらい」。準決勝2回目までに17位と出遅れ、難易率の高い最後の6回目も失敗した。「助走も宙返りも安定していた。なのに水際が定まらない。何で(失敗)なのか自分でも分からないぐらいだった」

 ただ悪いことばかりではなかった。苦手な「前宙返り2回半2回ひねり蝦型」を成功。有力選手が予選落ちする波乱の展開も追い風だった。

 「最後まで何があるか分からないから、とりあえず悔いなくやろう」。そう信じていた23歳に、4年前にそっぽを向いた運命の女神が、優しくほほ笑んだ。

 終わってみれば379・25点で16位。決勝進出は逃したが、「準決勝で16位以内」を求めた日本水連の選考基準を満たした。「内容的には最悪だけどまずは一安心」。目前で逃したロンドンを思えば、スタートラインに立てること自体が幸せだった。




 2012年2月。最終予選を兼ねたW杯で、自己ベストの491・05点で7位に食い込んだ。

 3回目は、4人の審判員が10点満点で9・5点を出すほど完成度が高く、5回目の「前逆宙返り3回半抱え型」では91・00点をマーク。上位18人が得る五輪出場枠を難なく獲得した。

 だが当時、日本水連が「W杯で新たに出場枠を得た選手の中で上位3人に入った場合に限る」という独自の選考基準を定めており、これを突破できていなかった。

 「W杯でメダルにも近づいたのに、五輪に行けない。やっている意味を感じなかった」。19歳は絶望感にさいなまれた。

 飛び込みをやめようか…。しばらくは、ただ流されるように、日体大に所属しているという義務感で惰性のまま大会には出続けていた。それでも、「目の前に大会があれば、試合には集中はできる」と、12年6月のグランプリ・イタリア大会で日本勢初優勝の快挙を成し、13年の世界選手権では8位に入った。

 五輪へのモチベーションは必ずしも戻っていなかったが、大学卒業後の15年からは、兄のように慕い、4大会連続で五輪に出場した寺内健と同じミキハウスに所属。グランプリ・プエルトリコ大会の男子3メートルシンクロ板飛び込みで優勝し、日本選手権でも同種目と3メートル板飛び込みの2冠に輝いた。

 苦い記憶を、あのトラウマを乗り越えた-。周囲はそう信じて、再び大きな期待を寄せた。しかし、五輪まで1年を切っても、坂井の心はスランプから抜け出せていなかったという。

 「ずっと引きずっていた。年々五輪が近づいてくるにつれて恐怖心が強まった。またこの時が来たという気持ち。精神的には乱れる時期もあった」




 吹っ切れたのは、寺内を抑え、1位通過した昨年11月の国内選考会だった。坂井はぴりぴりとした雰囲気を隠さず、こう言い放った。

 「次は『(五輪に)行ってください』と言ってもらえる選手にならないといけない」

 選考基準に泣かされた4年前を乗り越えるため、あえて自らにプレッシャーを課していった。

 両親ともに日体大のコーチという飛び込み一家に育った。だが、内なる自分を乗り越え、サラブレッドが覚醒するまでには長い雌伏の時があった。

 

さかい・しょう 飛び込み・男子板飛び込み日本代表。ミキハウス所属。大野南中-渕野辺高(現麻布大付高)-日体大出。全国高校総体では3年連続で板飛び込みと高飛び込みの2冠を達成。2009年に日本選手権1メートル板飛び込みで初優勝し、翌年には3メートル板飛び込みと高飛び込みを制した。

 世界選手権は09年ローマから4大会連続で代表入りし、13年バルセロナ大会の3メートル板飛び込み8位が最高。12年ロンドン五輪予選で出場枠を獲得したが、日本水連の派遣基準をクリアできなかった。12年グランプリ・イタリア大会で日本勢初優勝。14年仁川アジア大会銅メダル。171センチ、58キロ。相模原市南区出身。23歳。

 ◆五輪の飛び込み競技 男女の高飛び込み、板飛び込みにそれぞれ個人とシンクロで計8種目がある。板飛び込みは、水面から3メートルの高さに設置された弾力性のある飛び込み板から回転やひねりを加えて飛び込む競技。難易度のほか踏み切りや空中姿勢、入水の美しさなどが採点される。

 日本勢は1936年ベルリン大会で男子板飛込みの柴原恒雄と女子高飛込みの大沢礼子の4位が最高。メダル獲得はない。


4年越しの念願がかなった坂井。五輪でのメダル獲得を期す
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