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東京五輪2020 神奈川のホープたち カヌートップ選手輩出する教育現場

その他スポーツ | 神奈川新聞 | 2014年12月1日(月) 11:12

海渕代表(中央奥)から指導を受けるスラロームチームの生徒たち=相模原市緑区の相模川
海渕代表(中央奥)から指導を受けるスラロームチームの生徒たち=相模原市緑区の相模川

急流で暴れる自艇を操り、ゲートを通過する技術とタイムを競うカヌースラローム。そんな難易度の高い競技に、五輪選手や国内トップ選手を輩出する教育現場がある。県カヌー協会副会長の海渕之郎さん(60)が代表を務める幼児教室「萌明(ほうめい)幼児館」(相模原市緑区)。海渕代表は「子どもたちが競技を楽しめるきっかけを与えたい」と意気込み、日々の指導に明け暮れている。

木造平屋建ての建物に砂場や遊具。一見すると幼稚園のようだが、建物の裏手には何艇ものカヌーがかかっている。

近くに相模川が流れ、キャンプ場もある。夏には園庭のすぐそばで蛍が飛ぶ。「自然と触れ合える絶好のスポット」。この秋に還暦を迎えた海渕代表は目尻を下げる。

就学前の子どもたちが通うが、幼稚園でもなく保育園でもない。アウトドアを取り入れた幼児教室、そしてカヌーの名門クラブとして知られる。

ここを巣立ち、世界に羽ばたいていった選手は多い。海渕代表の長女である萌(トヨタカローラ岐阜)は2012年のロンドン五輪に出場。ことし10月の仁川アジア大会のスラローム男子カヤックシングルで金メダルを獲得した足立和也(シーパーツ)らは競技の一線で活躍している。

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教育方針は「自然から学ぶ」。キャンプや自然観察をはじめ、教育の一環としてカヌーやマウンテンバイクも取り入れられている。

2歳からの水遊びに始まり、ライフジャケットを着けると、今度はパドルを手に握る。同幼児館主催で「マウンテンバイク耐久レース」や「カヌー駅伝」などを開き、少しずつ競技への道を開いていく。

今年で32年目を迎える幼児館。海渕代表は「子どもを取り巻く環境が変わっても、教育のスタイルは変わらずに貫き続けてきた」という。設立のきっかけは1978年にまでさかのぼる。

当時24歳。幼稚園の教諭を目指していた海渕代表は出身大学の関係からサウジアラビアへ。そこで日本人向けの幼稚園で教える仕事に就いた。

海は近い町だったが、周囲は砂漠ばかりで物資に恵まれず、教材の調達も難しい。拾った流木や貝殻を教材代わりに使うと、子どもたちは楽しそうに遊んでくれた。「自然と触れ合う教育の始まりだった」。海渕代表は懐かしそうに笑う。

しかし、80年にイラン・イラク戦争が開戦。充実の時はいきなり終わり、帰国を余儀なくされた。

帰ってきた日本で決められた枠の中の教育に違和感を覚えたという。「既成のものを教える方法は自分に合わない」。自然と触れ合える幼児教室を開こうと、83年に東京都八王子市内に幼児館を開校。89年に、自然に囲まれた相模原市緑区に移転した。

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一貫した指導もまた強みだ。幼児館と併設するアウトドアスクールで、幼児館の卒業生を中心に小学1年生から中学3年生まで、カヌーやマウンテンバイクなどを指導する。さらに同スクールのOB、OGの中学生から大学生までが集まるカヌースラロームチームを結成し、相模川で日々腕を磨いている。

小学1年から全国大会にも挑戦。昨夏の全国少年少女カヌー大会では10種目中3種目を同スクールの選手が制した。

スラロームチームでも独学で指導法を学んだ海渕代表が、川の流れの読み方やライン取りから、トレーニング方法まで指導する。午前は幼児館、午後はスクールやスラロームチームの指導に熱を入れる毎日だ。

萌明幼児館のOBで、スラロームチームメンバーの小島大地(早大)は今季の男子カヤックシングルスラローム・ジャパンカップで堂々の7位入賞。2年後のリオデジャネイロ五輪出場も期待される若きホープは「カヌーをやっている限り五輪は目標。東京五輪にもチャンスがあれば出たい」と意気込んでいる。

ただ、海渕代表は五輪代表などトップ選手の輩出をすることが第一義とは思っていない。

「まず教育者であることが第一。子どもたちが打ち込めることが見つけられれば、自分はそれで幸せ」。ただ、もちろん教え子の夢をかなえてあげたいとも言う。

「いつか五輪の舞台をつかんでほしい」。これからもそっと、背中を押し続ける。

◆カヌースラローム 河川の約200メートルの区間で不規則に置かれた20個前後のゲートを急流に逆らいながら通過し、そのタイムを競う。2本のポールがつるされて1個のゲートがつくられ、ゲートの通過順は事前に決められており、接触や不通過で減点される。パドルをこぐ力やバランス感覚、川の流れを読む力が試される。1972年のミュンヘン五輪で正式種目として採用された。76年から88年まで一時種目から外れていたが、92年のバルセロナ五輪で再び実施された。

【神奈川新聞】

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