門出の春を迎えた。2019年度入学の中高生にとって、学園生活は描いた通りではなかったかもしれない。それでも、未曽有のウイルスにあらがい、刻んだわだちはかけがえのない財産となる。志新たに羽ばたくアスリートたちを追った。
剣の道に終わりはない。昨春、全国高校剣道選抜大会で、男子団体優勝を遂げた桐蔭学園。主将としてけん引した菅野透馬(18)はひときわ小柄な165センチの肉体に、大きな志を宿す。
「高校3年間で教わってきたのは技術だけではない。教員になって今の自分より若い選手や小さな選手に教えていきたい」。師の背中を追って─。
「俺も大きくなかった」
昨年3月、大将の菅野を含む5人が引き分けで代表戦にもつれ込む激闘を制し、17年ぶりの頂点に立った。