五輪の悔しさは五輪でしか晴らせない─。柔道男子60キロ級の高藤直寿=パーク24=は決意を込める。「五輪の金メダルを取るという気持ちでひたすらにやってきた」。3位に甘んじたリオデジャネイロ大会から4年、技巧派は円熟の域に達しつつある。新型コロナウイルスが待ったをかけた。されど、曲折を経てきた27歳にとっては、さらなる強さを手に入れるための時間にすぎない。
変化に富んだ1年を経て、渇望は増している。「夢であり目標であり、人生すべてを出し切るのが五輪の舞台」。胸の傷はいまなお深い。
自信に満ちあふれていたリオデジャネイロ。「勢いだけで金メダルを取ろうと思っていた。いけるでしょう、みたいな」。23歳は高く伸びた鼻っ柱を見事に折られた。