ダメ押しの3点目は、頼れる主将の左足から。後半ロスタイム4分、ゴール前中央25メートルで得たFKを蹴るのは、もちろん中村だ。振り抜いたグラウンダーのシュートは壁の左脇をすり抜け、GKの手がギリギリで届かない左隅へ。今季初の直接FK弾が決まると、直後に4回戦行きを告げるホイッスルが鳴った。
「そんなにきれいにパスが回るチームじゃない。セットプレーは大事にしていきたいと思っている」。前半12分、この日最初のCKに合わせたニアの金井が鋭いヘディングシュートを放つと、その1分後に今度はファーサイドの中沢にピタリ。33分にやはりCKから大黒の先制点が生まれたが、その予感は試合開始直後から漂っていた。
8月末のC大阪戦で左膝を痛め、約1カ月半戦列を離れた。復帰後しばらくは、らしくないパスミスも目立ったが、ここへ来てようやく本来の精度が戻ってきた。そのC大阪戦以来となるトップ下でのフル出場も、調子が上がってきていることの表れだろう。
「リーグもナビスコ杯も優勝できなかったので、唯一残っている天皇杯に全力でやる。監督も正月にサッカーをすると言っている。そうなれるように」。その左足で、チームを残されたタイトルへと導く。
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