昨季まで5季率いた風間監督と4年間で82得点を挙げた大久保が去り、川崎は転換期となるシーズンを迎える。元日本代表MFの家長ら新たなタレントが加わり、昨年リーグ3位、天皇杯準優勝で痛感した「あと一歩」を埋める戦いが始まる。
最大の焦点は攻撃陣の新旧融合だ。宮崎、沖縄の2度のキャンプでは攻撃の核と期待する家長を小林との2トップやトップ下で起用。G大阪から加入したサイドアタッカーの阿部も積極的に組み入れ、連係の向上に努めた。絶対的エースが抜けた穴は小さくないが、新戦力をいかに早くチームの攻撃スタイルになじませ、得点力を積み上げられるかが鍵になる。
守備陣の顔ぶれは変わらない。昨季は過去最少の39失点と課題だった守備力は大きく改善した。韓国代表GKの鄭成龍やディフェンスリーダーに成長した4年目の谷口も健在で、新潟からは元ニュージーランド代表の舞行龍が加入するなど、層は厚くなった。
ここ数年はけが人の続出に泣かされ、昨季もヤマ場の試合で勝ちきれなかった。クラブ幹部は今季の重点テーマとして負傷者の減少を掲げ、横浜Mで13年の経験を積んだ篠田洋介氏を4年ぶりとなるフィジカルコーチとして招聘(しょうへい)。3年ぶりのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を戦う序盤の過密日程を乗り切るため、始動日から入念な体づくりに励んでいる。
開幕前の最終調整となった浦和との練習試合は3-1で勝利。新主将の小林が「(川崎は)独特なサッカーをやっているので、新加入の選手は難しいところはあるけど、キャンプを通して良くなってきている」と言うように、チームづくりは順調に進んでいる。年間を通して優勝争いを演じた昨季の経験を糧にし、今年こそ悲願の初タイトル獲得を狙う。