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遅咲きからの逆襲 卓球女子「黄金世代」を超えていけ

スポーツ | 神奈川新聞 | 2017年2月12日(日) 11:09

全日本選手権ジュニアの部女子シングルスで優勝した横浜隼人高・笹尾=1月19日、東京体育館
全日本選手権ジュニアの部女子シングルスで優勝した横浜隼人高・笹尾=1月19日、東京体育館

 1月に行われた卓球全日本選手権ジュニアの部女子シングルスで、横浜隼人高2年の笹尾明日香が初優勝を遂げた。過去に福原愛(ANA)が3度、石川佳純(全農)が4度優勝している登竜門を制した17歳は「世界で活躍できる日本のトップになりたい」と次のステージに目を向けている。

 県内ジュニア世代では無敵の笹尾も、全国的には無名の存在。「同世代や年下が世界で活躍していて悔しいし、絶対勝ちたかった」。気迫あふれるプレーが強敵を次々とのみ込んでいった。

 準決勝で平野美宇(エリートアカデミー)や伊藤美誠(スターツ)とともに「黄金世代」と称される世界選手権代表の加藤美優(吉祥寺ク)を撃破。さらに決勝では、U-15(15歳以下)世界ランキング1位の長崎美柚(エリートアカデミー=海老名市出身)を3-1で下した。

 「以前なら負けるかもと思ってしまったけど、自分は最後は勝つと信じてプレーできた」。自任するメンタル面での成長だけでなく、アクシデントを乗り越えるたくましさも光っていた。大会直前に右足底を痛めて動きが限定されたが、「フォアハンドで全部打つ攻撃的なスタイルから、バックハンドも使って攻めも守りもやるスタイル」に変えたことが功を奏した。

 ただ、これまで無縁だった全国タイトルをつかんでも、満足感は全くない。

 卓球界ではトップ選手の低年齢化がますます進み、「黄金世代」に続く中学生の長崎らが既に国際大会で活躍している。日本は昨年の世界ジュニア選手権で男女とも団体優勝。選考会9位でメンバー入りを逃していた笹尾は「優勝を知って悔しかった。自分は、まだまだ黄金世代の一員になれていない。平野さんや伊藤さんにも勝っていかないといけない」と言い、17歳でのジュニア制覇が“遅咲き”であることを自覚している。

 実業団選手だった母良枝さんの影響で、5歳で競技を始めて12年。「大学までプレーできてもあと5年。終わりを意識して焦りやプレッシャーを自分に与えている。一日も無駄にできないし、本当に猛スピードで強くならなきゃいけない」。打倒黄金世代で世界を目指していく。



◆「強化部」で徐々に成果隼人中・高卓球部

 笹尾の全日本選手権ジュニアの部での優勝は指導者や後輩にも、大きな刺激になっている。

 横浜隼人中・高の女子卓球部が2006年に「強化部」になってから11年目で、在校中の選手が日本一のタイトルを獲得したのは初めて。岸昌宏顧問(38)は「うちは全国の強豪校のように選手を集めて、カリスマ指導者がぐいぐい引っ張るチームじゃない。笹尾の優勝は、横浜隼人みんなの優勝」と喜びを語る。


卒業生の実業団選手や複数の指導者を相手に練習する横浜隼人の選手たち=横浜隼人高
卒業生の実業団選手や複数の指導者を相手に練習する横浜隼人の選手たち=横浜隼人高


 中高生26人の部員が一緒に練習している体育館には、元日産自動車卓球部監督の小林秀行コーチ(75)や4人の顧問のほか、ボランティアの外部コーチや男子大学生、OGらが入れ代わり訪れる。「全員が成長できるように、1対1の指導をしている」(岸顧問)のが特長だ。

 実績は徐々に出始めている。

 強化部1期生の中島(サンリツ)、4期生で当時早大の小道野(アスモ)、7期生の秋田(中大)の3人が神奈川の成年女子として出場した15年の国体で優勝。全日本選手権でも16年に中島、今年は6期生の永尾(アスモ)がダブルスを制している。実業団のオフに母校を訪れ、笹尾らと打ち合う小道野は「まだ歴史は短いけど、現役の笹尾さんが優勝して部が大きくなってきたなと感じる」と話す。

 同部は、全国的な強豪だった白鵬女子高の近藤欽司監督(元日本代表監督、現サンリツ総監督)が03年に退任した後、県内に新たな拠点校をつくりたい県卓球協会の意向なども受け、06年から強化部となったという。

 卓球ブームの過熱や、日本オリンピック委員会(JOC)のエリートアカデミーの誕生で有力選手の低年齢化が進み、小学校の全国大会で活躍する選手をスカウトする強豪校が主流だが、岸顧問は「うちは寮や特待生制度がない。勉強もしっかりさせるし、卓球が好きな子を、卓球を好きなまま卒業させることが理想」と言う。そうした方針に共感し、地方から家族と転居してまで入部する選手も増えてきたという。

 これまでの全国大会では中学生が準優勝、高校生は3位が最高成績だった。中学主将の遠藤優葉(2年)は「先輩の優勝がうれしかったから、自分たちが優勝したらもっとうれしいのかな」と話し、刺激を力に変えて練習に取り組んでいる。

◆日本女子卓球界の黄金世代 ロンドン、リオデジャネイロ両五輪で日本をけん引した福原愛、石川佳純に続き、10代前半から世界で活躍する16~18歳の選手たちを指す。リオ五輪団体銅メダルメンバーの伊藤美誠(スターツ)や全日本選手権一般の部女子シングルスを史上最年少の16歳9か月で制した平野美宇(エリートアカデミー)のほか、加藤美優(吉祥寺ク)、早田ひな(福岡・希望が丘高)らが中心。昨年12月の世界ジュニア団体は伊藤、平野、早田が優勝した。

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