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体操男子・白井健三
ひねり極め頂へ(下) 大技封印し「夢」挑む

スポーツ | 神奈川新聞 | 2016年8月7日(日) 12:00

本番会場で跳馬の練習をする白井健三=リオデジャネイロ(共同)
本番会場で跳馬の練習をする白井健三=リオデジャネイロ(共同)

 リオデジャネイロ五輪を1カ月後に控えた7月の代表合宿。白井健三(19)=日体大=は全体練習後、一人居残って跳馬と向かい合った。

 踏み切り板を力強く蹴り、空中でドリルのように鋭くひねる。これまでの「シライ/キムヒフン」からひねりを半回転分増やした「伸身ユルチェンコ3回半ひねり」。国際体操連盟(FIG)に新技として申請した、この技を五輪本番で成功させれば床運動、跳馬と合わせて自身の名前が付く五つ目の技となる見込みだ。

 ただ、本番を控えた現地の練習で団体では挑戦しない方針を固めた。根底にはこんな考えがある。「(伸身)ユルチェンコ3回半(ひねり)はいつでもやれるチャンスがあるけどオリンピックの団体は4年に1回。体操人生の中でそう多くない。3回半ひねりが安定すれば貴重な戦力になるけど、てんびんにかければ優先するのは団体」

 「ひねり王子」「ミスターツイスト」。高校生のうちに世間からそうもてはやされてきた。それでもおごらず、自らの名が冠された技におぼれることもなかった。

 ひねりが注目された小、中学校までの考えは「一番になれればそれでいい」「これを決めれば絶対勝てる」。勝つという目的を達成するための手段が、ひねり技だった。そんな少年に「(技を)決めて勝っても、自分が一番満足した状態じゃないと勝った気がしない」と思わせたのが、2014年の世界選手権(中国・南寧)の団体総合、個人種目別床運動で味わった苦い銀メダルだ。

 床運動のDスコア(演技価値点)で7・4点とライバルを圧倒する高難度の構成で勝負したが、着地が決まらない。団体総合では6種目トータル0・100点差で中国に逆転負けした。種目別床運動でもラインオーバーのミスが響き、0・017点差の2位に甘んじた。

 「あの世界選手権で、全てを捨てられた気がした」。完成度という土台があっての大技だと、気づかされた。

 周囲のメダルへの期待をよそに、白井は五輪をこう見据える。「メダルを取れたとしても、その喜びより、自分の演技ができた喜びのほうがきっと大きい。リオという舞台で自分の演技ができる喜びを味わいたい」

 ただ、父・勝晃さん(56)が「根っからの負けず嫌い」と表現する19歳はやはり、2年前の銀メダルから勝利への意識を高めてきた。「練習から失敗を繰り返している。成功ばかりしていると、失敗したときにどう立て直せばいいか分からなくなる。わざと失敗する練習もしている」。リスクは管理できている。だから、ぎりぎりの部分で攻められる。

 6日夜、日本男子体操界が3大会ぶりの金メダルを狙う団体総合の予選が幕を開けた。小学校の卒業アルバムに記した夢は「オリンピックで金メダルをとる」。その夢を南米の地でかなえようとしている。

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