
1-0の後半34分、小林がペナルティーエリア内で倒されてPKを得ると、大久保はもうボールを手放さなかった。
「自信がある」。今季ここまで2度決め、一度も失敗していない。ペットボトルの水で喉を潤して呼吸を整え、ゴールを真っすぐに見据えた。
横浜Mの榎本が左へ反応したと見るや「よっしゃ」とゴール右上を貫いた。試合を決定づける場面でも揺るがない。4年連続で2桁得点に乗せるとともに、勝利を大きく手繰り寄せたエースはやはりエースだった。
神奈川ダービーマッチのこの日、敵地は今季最多の4万6413人で膨れ上がった。「青も水色も似た色。自分たちのサポーターだと思ってやっていた」。強心臓ぶりには恐れ入る。
9日に34回目の誕生日を迎えた。「もう34だから、別にうれしくないですよ」。そう照れくさそうに笑い「点を取れて良かった」と胸をなで下ろす。年齢とともにゴールを重ねる背番号13の得点感覚はむしろ年々鋭くなっている気がする。
クラブ、そして自身にとっても初となるタイトルはもう射程圏内。「あと2試合。一戦一戦、どんな内容でもいいから勝ち点3を取れるようにしたい」