バレーボールの全日本高校選手権(春高バレー)第3日は7日、東京体育館で3回戦と準々決勝が行われ、神奈川代表で女子の橘は、3回戦で札幌山の手(北海道)に0-2でストレート負けを喫し、ベスト8進出を逃した。
橘は第1セット中盤に逆転され、22-25で落とすと、第2セットも小塩悠生(3年)の得点などで一時同点とする粘りを見せたが18-25で及ばなかった。
準決勝は男子が東福岡-創造学園(長野)、鎮西(熊本)-駿台学園(東京)、女子は金蘭会(大阪)-八王子実践(東京)と東京同士の文京学院大女-下北沢成徳となった。女子で東京勢3校が4強入りしたのは2010年度に現大会形式になってからは初。
準々決勝で男子は2連覇を狙う東福岡が崇徳(広島)に、全国高校総体2位の駿台学園は高岡第一(富山)に2-0で快勝。女子は前回優勝の金蘭会が京都橘に、下北沢成徳は細田学園(埼玉)に2-1でそれぞれ競り勝った。総体と国体との3冠を狙った九州文化学園(長崎)は3回戦で下北沢成徳に敗れた。準決勝は9日、決勝は10日に開催される。
◆狂った歯車戻せず
ベスト8を目前に橘は逆転負けを喫した。ここで終わるはずじゃなかった。その思いが涙となって頬を伝った。
快勝だった2回戦の勢いそのままに、好スタートを切っていた。第1セットを11-7とリードし、「課題の出だしはうまくいっていた」と主将の井上。そこに隙があったのかもしれない。中盤に逆転を許すと、焦りは硬さを生んでいく。
後がない第2セット。井上のスパイクが決まらなくなった。歯車は次第に狂っていく。「セッターの長尾とブロード攻撃で流れを変えようと話した」。センター小塩は言葉通り、見事なコンビネーションで一瞬光を放った。しかし、攻撃の選択肢が限られる中で、徐々に輝きを失っていった。
「リードしたときに受け身に回ってしまった。井上が途中でブレーキになってしまった後、攻撃が単発になり崩しきれなかった」と坂本誠二監督(47)。井上は「肩に力が入って視野が狭くなってしまった」と泣き崩れた。
単独チームとして出場した昨秋の和歌山国体で5位に入り、頂の輪郭をわずかに仰ぎ見て挑んだ2年ぶりの春高。「先輩たちの分もという思いだった」と井上が言えば、2年前は応援席にいた小塩は「いつか立ちたかった場所。応援が思った以上にすごくて楽しかった」と振り返る。
残せたのはわずか1勝だったが、伝統の強さを取り戻すため、確かな一歩を記した。
◆変則日程がプラスに
1日に2試合を行う変則日程が、前回覇者の東福岡にプラスに働いた。1試合目の伏兵、上越総合技術戦はエース新井の強打で第1セットを奪われ、ようやく逆転勝ち。この苦戦で選手たちは連覇への執念を奮い立たせた。
続く崇徳戦は見違える動きを見せ、第1セットを先取すると第2セットは25-9と圧倒して4強に進んだ。藤元監督が「3試合やって初めて地に足がついた。(6日の)2回戦とは別のチーム」と冗談めかす変わりようだった。