悲願は持ち越し-。12日、大阪府高槻市で行われたサッカー女子のなでしこリーグ入れ替え戦で、ノジマステラ神奈川相模原は1部昇格を逃した。だが、創設4年目で右肩上がりの成長を見せている実業団チームの未来は明るい。
0-0で試合終了の笛が鳴ると、選手たちの目は真っ赤だった。
ホームアンドアウェー方式で行われた2試合の合計スコアは2-2だったが、敵地での得点差で敗れた。それでも、2012年の創部から率いている菅野将晃監督(55)は「勝ち負けだけじゃなく、この試合を見て何かを感じていただければ(うれしい)。選手たちはそういう内容を示してくれた」と最後まで走り抜いた選手たちを褒めた。
女子の日本代表「なでしこジャパン」がブームになる中、家電量販「ノジマ」が立ち上げたクラブは独自の路線を貫いてきた。選手たちがノジマの正社員として雇用されている実業団チームは女子サッカー界では珍しい。
専用の寮で生活を送り、午前は各店舗でレジ打ちなどの業務に携わり、午後は専用グラウンドで練習に明け暮れる。強豪クラブでは一部の選手がプロ契約を結べるが、いまだ競技だけではなかなか生活できない女子サッカー。好環境が選手を育み、当初は無名の選手の集まりだったチームから日本代表選手が誕生するまでになっている。
中学、高校の育成組織はもちろん、小学生以下を対象としたスクールも開校して未来をにらんでいる。菅野監督は「来季こそ1部昇格を果たしたい。最終目標は日本を代表するクラブ」という。ことしの昇格は逃したが、大きな夢に向かって前進している。