横浜創学館高のブルペン。後輩たちが練習試合に汗を流す中で、望月惇志は夢のマウンドに向けて黙々と腕を振り続けていた。
最速は148キロ。その数字にふさわしいようなボールがうなりを上げ、捕手のミットに吸い込まれていく。
「チームメートには申し訳ないけど…」。そう切り出した右腕は「夏の時よりもいい球がいく。引退した後もどんどん状態が良くなっている」と言う。ばつが悪そうではあるものの、白い歯が浮かんだ。
高校入学時の球速は目いっぱい投げて、130キロにやっと届くほど。プロ志望届を出せるようになるなんて、自分でも驚きを隠せない。入学時から18キロも伸びたストレートのスピード。その原動力は悔しさだった、と振り返って思う。