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選手守るドクター2人 高校ラグビー桐蔭学園

スポーツ | 神奈川新聞 | 2017年1月6日(金) 02:00

ベンチで試合を見守る中澤さん(中央)と宮田さん(右端)の両ドクター =花園ラグビー場
ベンチで試合を見守る中澤さん(中央)と宮田さん(右端)の両ドクター =花園ラグビー場

 大阪府東大阪市で行われた5日の全国高校ラグビー大会。9度目の準決勝を戦った桐蔭学園(横浜市青葉区)は前回王者の大阪府代表、東海大仰星に敗れ決勝進出を逃した。チームを長年支える同校OBでチームドクターの中澤暁雄さん(54)と宮田庸さん(55)は「厳しい日程の中、よく戦った」と選手たちをねぎらった。

 試合前の調整が行われる神戸市内の練習場。2人の仕事はトイレの消毒から始まる。「マスク、消毒は忘れるな」。口酸っぱく選手に伝え、取材する報道陣にもマスクを配る。体調管理はもちろん、流行するノロウイルスなどの感染症から選手たちを守ろうと全力を尽くしている。

 中澤さんは中澤医院(東京都町田市)、宮田さんはあおば整形外科(横浜市青葉区)でともに院長を務める。その傍ら、同校が全国大会に初出場した20年前からチームに帯同し続ける。「昨年の休日は年2日。大会序盤で負ければ休みも長いけど、それじゃさみしいんだよ」と中澤さんは笑う。全国大会でベンチ入りが許される登録5人のスタッフとして、桐蔭はドクター2人がベンチに入る。

 各校は戦術に理解のあるコーチを中心に入れるが、2002年、当時就任1年目の藤原秀之監督(48)からベンチ入りを求められた。スタッフ枠は前回大会から5人に増員される以前はわずか3人。「ラグビーのわからない人間が入っていいんですか」。驚く2人に、指揮官は答えた。「選手のためだから」

 ある試合では相手選手2人が激しく交錯し、ともに脳振とうで倒れた。試合中に処置を施せるマッチドクターは1人だけ。藤原監督は迷わず言った。「始末書は私が書きます。行ってください」。敵味方は関係ない。中澤さんはけが人の元へ走った。

 活動が知られ、今では試合前に対戦相手のスタッフから「よろしくお願いします」と声を掛けられるようになった。「若い選手の競技人生がかかっている。ベンチにドクターが入る風潮が広まってくれれば」と宮田さん。選手を守るため。ラグビーの普及、発展のため。2人はこれからも汗を流し続ける。

 
 

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