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神大、復活ののろし 万感の5位で12年ぶりシード権 箱根駅伝

スポーツ | 神奈川新聞 | 2017年1月4日(水) 02:00


5位でゴールする神奈川大のアンカー・中神恒也=東京・大手町
5位でゴールする神奈川大のアンカー・中神恒也=東京・大手町

 第93回東京箱根間往復大学駅伝最終日は3日、箱根町から東京・大手町までの5区間、109・6キロに21チームが参加して復路が行われ、青学大が11時間4分10秒で3年連続3度目の総合優勝を果たした。

 2002~05年まで4連覇した駒大以来、史上6校目の総合3連覇を達成。復路も5時間30分25秒で制した。3年続けて往路と復路の両方で優勝するのは戦後初。出雲全日本選抜、全日本と合わせ、史上4校目となる大学駅伝3冠にも輝いた。

 神奈川大は5位に食い込み、12年ぶりに来年のシード権を獲得した。東洋大が7分21秒差で昨年に続いて総合2位となり、早大が3位。4位は順大だった。

 青学大は往路2位の早大に33秒差で復路をスタート。8区の下田裕太が2年連続区間賞に輝く快走で独走態勢を築き、9区の池田生成もリードを広げて圧勝した。

 6位以下は中央学院大、日体大、法大、駒大が続き、10位の東海大までがシード権を確保。最優秀選手は6区で2年連続の区間新記録を出した日体大の秋山清仁。11位は帝京大。山梨学院大と明大が同タイムで並び、区間成績の比較でそれぞれ17、18位。日大は19位に終わった。

思い一つ 大躍進 12年ぶりシード「満点」
神奈川大5位


5位でゴールする神奈川大のアンカー・中神恒也=東京・大手町
5位でゴールする神奈川大のアンカー・中神恒也=東京・大手町

 復活ののろしが上がった。復路でも安定してピッチを刻んだ神奈川大が前回13位から5位に大躍進。「全日本(大学駅伝)は予選で負けてチームとして最初で最後の駅伝。一人一人が役割を果たしてくれた」。同大史上初の2区での区間賞に輝き、シード権獲得の原動力となった主将鈴木健は仲間と抱き合って喜んだ。

 2005年以来の目標を射程に入れての復路。6区鈴木祐が勢いを手放さなかった。前回同じ6区で区間15位に沈んだ3年生は「自分が流れをつくる」と6キロすぎで駒大を捉え、区間4位の力走。継いだ中平がさらに順位を押し上げ、8区大塚は区間2位の快走でトップ10入りを確実にした。

 「百点満点。6、7、8区が最高の走りをして、貯金をつくってくれた」。大後栄治監督(52)の喜びもひとしおだ。1997、98年に連覇を果たしたが、レースのスピード化に乗り遅れ、低迷が続いた。スカウト網の強化やスタッフの細かな分業制など強化策を講じて6年目。鈴木健というエースも育ち、1万メートルの上位10人の平均タイムでは出場21チーム中9位と数字的な根拠を持って臨んでいた。

 調整も万全だった。感染症のリスクを避けるため、昨年12月23日には登録メンバー16人を残して合宿所から全員を自宅に帰した。アンカー中神は「そこまで本気なんだなと。あれでチームが引き締まった」と振り返る。

 大後監督は言う。「やっとスタートラインに立てた。近い将来には優勝候補に名乗りを上げたい」

秋山6人ごぼう抜き 2年連続区間新でMVP
日体大7位


最優秀選手に選ばれた日体大の秋山清仁=東京・大手町
最優秀選手に選ばれた日体大の秋山清仁=東京・大手町

 日体大は往路13位から追い上げ、復路3位として前回に並ぶ総合7位でフィニッシュ。2年連続でシード権を得た。

 原動力は6区の秋山。往路1位の青学大から6分44秒後にスタートし、カーブの続く山道でもペースを落とすことなく駆け下りて、6人をごぼう抜きする。前回自身が打ち立てた区間記録を8秒更新する58分1秒の走りで今大会の最優秀選手賞にも選ばれた。

 2年時から6区を任され、3度目の箱根路だった4年生は「3年間で最高の走り。とてもうれしい」と破顔する。卒業後は実業団入りするランナーは「技術面で特別なことはしなかったけど、去年の走りから周りの声援ががらりと変わり、たくさんの人に応援してもらえた。それが結果につながった」と感謝した。

 区間2位の快走で締めたアンカーの主将小野木も頼もしい同級生をたたえる。「(秋山は)異次元の走り。一気にシード圏内に持ってきてみんなに勢いを与えてくれた」と笑顔を浮かべた。

上級生躍動シード死守 驚異的な巻き返し
東海大10位


10位を守り、ゴールした東海大の林竜之介=東京・大手町
10位を守り、ゴールした東海大の林竜之介=東京・大手町

 東海大は1年生4人を並べた往路で15位と苦しんだが、復路で驚異的な巻き返しを見せてシード権を死守した。

 原動力は強力ルーキーの陰に隠れていた上級生たちだ。7区の4年生石橋が区間賞の快走で11位に押し上げると、8区の春日も続いた。

 「1年に苦しいところを任せてしまったのは僕らの責任。その苦しい経験を来年へつなげさせるためにもシード権を取りたかった」。昨年2区を走った3年生がシード圏内の10位に浮上させ、続く3、4年生も順位を保ってゴールした。

 力のあるランナーが多く入学してきた今季。例年は1年生に任せる寮の仕事を減らすなど心を砕いてきたが、サポート役だけに終わるつもりはなかったという。

 結実した復路4位。立役者の石橋は照れ笑いを浮かべる。「さすがだなって言わせたかった。やっと4年の力を示せたかな。俺でも区間賞を取れたんだからおまえらも取れると言いたい」。上級生の心意気は後輩の糧となる。

攻めて大役果たす 法政二高出身1年・橋本
順大6位


初の箱根駅伝で6区を走り、3位でたすきをつないだ順大の橋本龍一(左)=小田原中継所
初の箱根駅伝で6区を走り、3位でたすきをつないだ順大の橋本龍一(左)=小田原中継所

 「ハシモト!」。サポートの上級生の掛け声に最後の力を振り絞った順大の6区橋本は懸命に手を伸ばし、3位を保ってたすきをつないだ。

 「もう、気が気じゃなかった。緊張で自分がどこに立っているか分からないぐらいだった」。初めての箱根路。山下りを区間10位で走りきった1年生はようやく緊張感から解放され、紅潮した頬を緩めた。

 昨年まで法政二高のエースとして、都大路や全国都道府県駅伝で力走した闘志あふれるランナーだ。優勝11度の名門で大抜てきされたが、前夜は3位での復路スタートに気合がみなぎりすぎ「責任重大。絶対外せない」と考えているうちに眠れなくなった。「目をつぶっているだけでも、睡眠に近い効果がある」と言い聞かせ、一睡もせず朝を迎えたという。

 「おまえなら大丈夫だ」と言ってくれたメンバー外の先輩たちの思いに押され、上位の背中を追った。苦しくても、往路4区で区間賞を取った3年生栃木の「攻めの走りを忘れるな」という言葉も足を前に出させた。

 「今回は先輩たちの流れに乗っただけ。自分で流れを持ってこられる選手になりたい」。大役を見事に果たし、総合4位に貢献。名門の遺伝子を受け継いでいく。

3冠、V3…新たな歴史次々
青学大黄金期到来


1位でゴールに向かう青学大のアンカー・安藤悠哉=東京・大手町
1位でゴールに向かう青学大のアンカー・安藤悠哉=東京・大手町

 アンカー安藤がゴールテープを切ると、待ち受けた仲間の歓声がビル街に響いた。史上6校目の総合3連覇と史上4校目の大学駅伝3冠。青学大が歴史に名を刻んだ。原監督は「非常に重圧を感じていた。積み上げてきた伝統が花開いた」と感慨に浸った。

 前回優勝メンバーから神野(現コニカミノルタ)らが抜け、戦力低下が懸念された。それでも原監督は無理せず「能力を半歩向上させる」指導を貫いた。寮での朝食に欠かさず顔を出して選手の状態を確認し、選手もミーティングを重ねて結束を強化。他の追随を許さないチーム力を培った。


トップでゴールし3連覇を果たした青山学院大・安藤悠哉=大手町
トップでゴールし3連覇を果たした青山学院大・安藤悠哉=大手町

 互いの理解の深さが、ピンチで生きた。7区で田村が脱水状態となって顔をゆがめ、早大との差が2分8秒から1分21秒に。指揮官は「かなりひやひやした」と言うが、8区の下田は冷静にたすきを待った。「田村は暑さが苦手だし想定していた。差は関係なく、先頭で来たからそれを守るだけ」。区間2位より2分以上も速い圧巻の走りで、後続を突き放した。

 原監督はトレーナーらとの役割分担を明確にし「原がいなくても勝てる組織づくり」に力を注いできた。

 2区を走ったエースの一色は「去年は(個々の)走力で勝ったけれど、今年は総合力で勝った」と圧勝の内容に胸を張る。往路、復路の両方を3年続けて勝つのは、1938年まで4年間勝ち続けた日大以来の快挙。青学大が黄金時代を迎えた。


沿道の観客らの祝福を受けながらゴールを後にする青山学院大の原晋監督=大手町
沿道の観客らの祝福を受けながらゴールを後にする青山学院大の原晋監督=大手町

トップでゴールし3連覇を果たした青山学院大・安藤悠哉=大手町
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