
水泳の第63回県高校大会最終日は30日、横浜市都筑区の横浜国際プールで男女計12種目の決勝などが行われ、女子50メートル背泳ぎは井上愛梨(湘南工大付)が29秒83の大会新記録で優勝し、前日の100メートルと合わせ3年連続で背泳ぎ2冠を達成した。
◆低迷振り払う新境地
狙っていた大会新のアナウンスが響くと、笑顔で右手を振った。女子50メートル背泳ぎの井上は100メートルとの3年連続2冠を果たし、「これが高校で出る最後の大会。最後はちゃんと泳ぎたかった」と感慨深げに言った。
29秒83。無我夢中でキックを打ち、必死で腕を回した。終盤で抜け出し、ゴールした。
西本郷中3年時の全国大会で2位入賞。だが、進んだ湘南工大付では「苦しいことのほうが多い」3年間だった。自己ベストが出たのは今夏の県高校総体で約3年ぶり。練習では理想のフォームで泳げても、「試合だとごちゃごちゃ」。全国高校総体は15位で予選落ちした。
それでも、表情は明るい。この日のレース後は「高1より高2。高2より高3。感覚は良くなっている」と感じている。「タイムが遅くても、楽しめばいい」。悩んだ末たどり着いた心の余裕も、最後の最後でひと伸びを後押しした。
男女合わせて最古の大会記録だった。それも、アテネ、北京五輪と2大会連続で銅メダルを獲得した高校の大先輩、中村礼子の記録を15年ぶり0秒04更新。新境地で低迷を振り払ったスイマーは「将来は日本代表として世界で活躍したい」と夢を描いた。