
全国高校総体第6日は2日、和歌山市紀三井寺陸上競技場などで13競技が行われ、県勢は陸上男子110メートル障害の金井直(橘)が13秒85で、2013年に相洋・古谷拓夢(早大)が立てた大会記録を塗り替え、初優勝した。
◇
ハードル王国・神奈川の力を見せつけた。男子110メートル障害は金井が13秒85の大会新記録で初制覇。昨夏、ハードル2種目を2連覇した相洋・古谷(早大)に続き、県勢が3年連続の王座独占だ。「長い日々をこの日のために費やしてきた。言葉にならない喜び」と念願の頂点に3年生は胸を張った。
後続と0秒25差。古谷に次ぐ高校歴代2位の記録を持つハードラーのレベルは別次元だった。南関東予選で敗れた平松(東京・芦花)を序盤で抜き去ると、もう追い掛ける者はいなかった。
記録は同予選の14秒26から大きく伸びた。「小さな課題を一つ一つクリアしていった」と地道な努力を強調する。着地動作の修正、ハードル間のスプリント強化。冬場にウエートトレーニングを積み重ね、体重を7キロ増やした成果もある。だが何よりも、「自分のやるべき走りをすることだけに集中した」という冷静さが大舞台で実力通りの力を発揮させた。
この日は母・智子さんも川崎市から観戦に訪れた。大会の度に差し入れてくれる栄養価の高い手作りのはちみつ漬けレモンに、「自分だけの力ではない」と感謝の言葉を繰り返す。
時に助言してくれる「尊敬する先輩」(金井)である古谷の記録を初めて塗り替えた。「大学に上がれば争っていく相手。いずれは2020年の東京五輪に選ばれる選手になりたい」。もう偉大な背中を追うだけではない。肩を並べ、夢舞台への切符を競い合っていく。