他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. スポーツ
  3. 鍵握る若武者 都市対抗野球18日に開幕

鍵握る若武者 都市対抗野球18日に開幕

スポーツ | 神奈川新聞 | 2015年7月17日(金) 09:18

都市対抗大会西関東予選の三菱日立パワーシステムズ横浜戦で左越本塁打を放った東芝・佐藤旭=横浜
都市対抗大会西関東予選の三菱日立パワーシステムズ横浜戦で左越本塁打を放った東芝・佐藤旭=横浜

 社会人野球の第86回都市対抗大会は18日、東京ドームで開幕する。神奈川からは6月の西関東予選を勝ち抜いた東芝、JX-ENEOSの2チームが出場。黒獅子旗奪還へ鍵を握るであろう若武者にスポットを当てた。

◆東芝/佐藤旭 躍動「下位の1番」

 技ありの一発だった。5月31日の都市対抗大会西関東予選。東芝の佐藤旭は二回2死無走者、三菱日立パワーシステムズ横浜のベテラン左腕亀川の内寄りの直球を捉え、左翼席に運んだ。
 「右打者へのインコースが生命線の投手。どこかしらで使うとは踏んでいた」。大卒新人ながらも名門で「6番・右翼」の定位置を勝ち取り、同予選では打率3割8分5厘と大当たりした。
 慶応高、慶大ではリードオフマンを務めていたが、社会人では6番に入る。追い込まれてもファウルで粘り、簡単には三振しない「下位打線の1番」を自負する姿勢は数字にも表れている。同予選では20打席で三振はゼロ、出塁率は5割ジャストに乗せた。
 東京六大学野球に憧れて茨城県内の実家から2時間をかけて慶応高に通い、2009年春には甲子園の舞台に立った。慶大に進んで夢をかなえただけでなく、2年秋にベストナインに選出。4年時にはキャプテンという大役も担った。
 主将のときは当時の竹内秀夫監督が病気のために長期休養。指揮官不在の中で約200人の大所帯を束ねた。「全員が同じ方向を見ているわけではない。高校の主将よりもしんどかった」。ベンチ外のメンバーとも一人一人、コミュニケーションを重ねただけでなく、模範となるべく常に先頭に立ち、誰よりも多く練習を重ねてきた。
 「一番野球に打ち込んだ1年」。苦労を成長につなげてきた22歳に、工藤賢二監督(40)は「自分が何をすべきなのかが分かっており、しっかりとした芯を持っている」と評価する。
 都市対抗の本戦には慶大の先輩の山崎錬(JX-ENEOS)や元東芝の漆畑らの応援で何度も足を運び、独特の熱気を感じたという。今度はその舞台に自らが立つ。「いい意味で結果を求めず、がむしゃらにやってきた。1年目らしくフレッシュにプレーができれば」。5年ぶり頂点へ一直線に向かう。

 さとう・あさひ 外野手。慶応高-慶大。高校時代は2009年に選抜大会、大学時代は14年に全日本大学選手権に出場。都市対抗大会西関東予選では打率3割8分5厘をマークした。171センチ、72キロ。右投げ右打ち。茨城県出身。22歳。


◆JX-ENEOS/松本大希 自分信じ毎年勝負

 ルーキーイヤーの昨季は出番が少なかった打者が、躍進のときを迎えている。すでに二つの公式大会で首位打者に立ったJX-ENEOSの松本大希。「毎年新人が入ってくる。一年一年が勝負」。慢心なく、不動のレギュラーへ向けてバットを振る毎日だ。
 3月の春季県大会。東芝との決勝で猛アピールした。六回1死一、二塁で放った決勝3ランを含めて2安打7打点。最高殊勲選手に選ばれた。
 4月には岡山大会で打率4割7分1厘、6月の都市対抗大会西関東予選でも打率6割1分5厘で最高打率をマーク。「初球からがんがん打ちにいくのが自分のスタイル」という積極性で道を切り開いてきている。
 桐光学園高から慶大に進学し、4年秋にはベストナインに選ばれた。だが、1年目は井領、石川(ともに中日)ら厚い壁に阻まれ、昨夏の都市対抗大会は敗色濃厚の準決勝で代打で一度、打席に立っただけだった。
 しかし、努力は怠らなかった。「(レギュラー獲得は)そんな簡単なことではないとは分かっていた。でも、自分ならできる。そう自分を信じ続けた」という。
 室内練習場でバットを置くのは、だいたい午後11時すぎ。和嶋利博監督(45)から「練習の虫」と呼ばれる苦労人は「自分は天才じゃない。人が2ぐらいのことも自分は10かかる」と、猛練習も当たり前と言わんばかりだ。
 昨オフからウエート強化に取り組み、半年で5キロ増量。大久保秀昭前監督(現慶大監督)の助言でフォームも修正し、「逆方向やセンター方向にも長打が打てるようになった」と手応えを口にする。
 それでも、チーム内の競争を重視する和嶋監督は背番号3を確約してはいない。「苦手の左投手を打ち、(好不調の)波を小さくしないと信頼してもらえない。自分がチャンスで決めるつもりでなければ打てない」。2年ぶり王座奪還へ欠かせない存在になる。

 まつもと・たいき 外野手。桐光学園高-慶大。2013年秋に東京六大学リーグでベストナインに選出。都市対抗大会西関東予選では打率6割1分5厘で首位打者に輝いた。177センチ、82キロ。左投げ左打ち。横浜市青葉区出身。24歳。


都市対抗大会西関東予選で打率6割1分5厘で首位打者に輝いたJX-ENEOS・松本=横浜
都市対抗大会西関東予選で打率6割1分5厘で首位打者に輝いたJX-ENEOS・松本=横浜

 
 

都市対抗野球に関するその他のニュース

スポーツに関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング