「すごく苦しいステージだった」。6月27日の第1ステージ最終節の鹿島戦後。川崎の主将、MF中村の言葉には苦悩がにじんでいた。
序盤から負傷者が続出し、中村自身も終盤3試合はコンディション不良からいずれも途中出場。優勝候補と目されただけに、イレブンには不完全燃焼の色が濃い。
右太もも裏の肉離れと右膝手術の影響でFW小林は出場8試合で2得点にとどまり、MF大島、GK西部らも離脱。一時は紅白戦すら満足に行えない状態だった。
「誰が出ても同じサッカーをしないといけない」。常々そう口にする風間監督だが、3バックと4バックを併用するなど、起用だけでなく戦術面でも試行錯誤を強いられた。築き上げた攻撃的なスタイルは徐々に輝きを失っていった。
一方で、新戦力の台頭は光だ。筑波大から加入したDF車屋は開幕から主力に定着。DFエウシーニョの縦への推進力は既に大きな武器になっており、杉本、船山の両FWも適応してきている。
小林、大島が第1ステージ最終節で復帰したのも大きい。6月下旬にはドイツ2部リーグ、ボーフムからMF田坂が3年ぶりに古巣に戻った。中盤の複数のポジションをこなせる万能選手には大きな期待がかかる。
課題は松本に並んでリーグで4番目に多い26失点の守備か。カウンターへのリスク管理は徹底したいところだが、チームは3連勝で締めくくり、上昇の気配が漂う。
「みんなが力をつけてきて、もっと競争が激しくなってくる。年間順位を考えればまだまだ(タイトルに)届く位置。楽しみな部分が増えている」と中村。第2ステージに向けた言葉は明るい。
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浦和の独走で幕を閉じたJ1第1ステージ。躍進を期待された川崎、横浜Mの両クラブが5、6位と優勝争いに絡めなかった一方、J1に復帰した湘南は10位とまずまずの成績を収めた。第2ステージは11日に開幕。さあ、逆襲のときだ-。