男子100メートル自由形で圧倒的な強さを誇っていた王者、塩浦が電光掲示板を見つめ、しばしあぜんとした。48秒49の日本記録更新を狙っていたが、結果は48秒86でまさかの2位。「自分のイメージ通りに泳げていたはずなのに…。自分でもどうしてこうなったのか分からない」。天を仰ぐしかなかった。
前半から飛ばした。日本記録をうかがうハイペースで50メートルを23秒23でターン。しかし、残り20メートルを切ったところで失速した。「急に泳ぎのリズムが崩れた。すごく苦しかった」という。後続をかわしきれず、わずか0秒08のタッチの差で3連覇を逃した。
10日に自身が日本記録を持っている50メートル自由形で3連覇を成し遂げたばかり。準決勝の48秒69からも大きくタイムを落としているだけに首をかしげる。「感覚もいい。自分とのタイムの争いになると思っていた。相手うんぬんの話じゃない。不完全燃焼みたい」
ゴール後、新王者と握手をかわして祝福した。「今はこれからのことも何も考えられない。反省しなきゃいけないことは多い」。23歳は再び挑戦者としての道を進む。