
第70回国民体育大会冬季大会スケート、アイスホッケー競技会第3日は30日、前橋市の群馬県総合スポーツセンターなどで行われた。
神奈川勢はフィギュア成年男子で松村成(明大)が15位、小曽根孝浩(慶大)が16位となり、都道府県別の成績では9位だった。
同女子のショートプログラム(SP)は松嶋那奈(早大)が17位、石井綾香(日大)が23位。ともに31日のフリーに進んだ。
■悔い残すも堂々の舞
悔しさは残る。それでも堂々のラストダンスだった。フィギュア成年男子の松村は個人総合で15位。この大会で現役を引退する23歳は演技を終えると目に涙をため、別れを惜しむように銀盤に両手を突いた。
ショートプログラムは14位。「もう(これ以上)落ちることはない。今できることを全て出し切ろう」。序盤のジャンプでミスをしたが「強い気持ちを持って切り替えた」と中盤から持ち直す。端正なマスクをいっそう引き締め、力強いエッジワークとすらりとした手足を生かした伸びやかなスケーティングで観客を沸かせた。
1976、80年と2大会連続で冬季五輪に出場した父・充さん(57)の背中を追うように2歳でスケート靴を履いた。全日本選手権の最高成績は2011年の21位。武相高時代も含め輝かしい成績とは無縁の競技生活だったが「やめようと思ったことは一度もない」。スケートを愛する気持ちは揺るぎなかった。
今後は学業と並行して、新横浜プリンスFSCでコーチを務める父のもとで指導者としての修業を積む予定だ。「一日一日を大切に。今までやってきたことを後悔しないように」。幼い頃から、事あるごとに父と交わした約束を胸に、これからも歩んでいく。
【神奈川新聞】