フットサルのFリーグは9日、小田原市の小田原アリーナなどで第34節を行い、湘南は1-5で府中に敗れた。
昨年5月に右上葉肺腺がんと診断され、闘病中だった湘南の久光重貴(32)が約1年ぶりに公式戦に復帰。久しぶりのピッチで懸命なプレーを見せた。
がんと闘う不屈の「ヒサ」がピッチに帰ってきた。
湘南の久光重がリーグ戦では昨年1月の昨季最終節以来となる出場。「諦めなければ、かなうこともある」。フットサルに懸けてきた32歳は感慨深げに言った。
先発に名を連ねた。前半1分に巧みなドリブルで左サイドを襲い、左足でファーストシュートを放った。同1分すぎに弟の邦明と交代したが、後半開始からも約1分間出場。ピッチに立ったのはわずか150秒間だったが、久光重にとっては単なる150秒間ではなかった。
「夢のような時間だった」。肺がんの一種である右上葉肺腺がんの宣告を受けたのは、昨年5月末。この瞬間のためにがんと闘ってきた。
支えになったのは仲間の力だった。試合後、同じくがんから戦列復帰を果たした神戸の鈴村から花束を贈られた。
「久光選手からたくさん、元気をもらってきた」。そんな言葉をもらい、久光重は何度も声を詰まらせる。「このチームで復帰したかった」。スタンドには「待ってたぞ ヒサ これからも共に闘おう」の横断幕が踊っていた。
リーグ戦は残り2試合。「シュートを決めないと駄目。自分のスタートはここから」。背番号3の新たな戦いが幕を開けた。
【神奈川新聞】