目前にランナーが幾重に連なっても、神奈川の2区、神林が見据えたのは首位の走者だけだった。「1位になることだけを考えた」。中学陸上界のホープは区間2位タイとなる快走で12人抜きを達成し、チームを過去最高位に導いた。
17位でたすきを受け、トップとの差は16秒。170センチ、53キロの細身な体は大きなストライドを刻みながら次々と前の走者をのみ込んでいく。
「ペースは考えず、トップとの差を詰めにいった」。昨年12月の全国中学駅伝で10人を抜いてトップに立ち、区間賞を獲得したランナーは今大会も輝いていた。
区間1位を奪えなかった悔しさはある。それでも3区にたすきをつないだ瞬間、チームとしてでしか味わえない格別な思いを知った。
3度の出場を誇るプレス工業の25歳、梶原にぽんと背中をたたかれ、快走をたたえられた。次世代のエースは満面の笑みで振り返る。「初めての経験。自分のタイムには喜べなかったけど、声を掛けられて、うれしさがこみ上げた。これが駅伝の楽しさなんだなって」
卒業後は箱根路を目指し、長距離界で名をはせる熊本・九州学院高で実力を磨く。「大学で神奈川に戻ってこれたら。箱根だけでなく、この大会もまた走りたい」。駅伝に魅了された15歳は、これからもピッチを上げていく。
【神奈川新聞】