
アーチェリーの2019年ナショナルチーム選考会(全日本アーチェリー連盟主催)の最終日が15日、静岡県掛川市のつま恋リゾート彩の郷第1多目的広場で行われた。県勢は大井一輝(慶応高-慶大-三菱電機)が3位(3982点)、大貫渉(追浜高-立大-サガミ)が5位(3977点)、田畑隼剛(東海大相模高-東海大-東海大職-県アーチェリー協会)が10位(3938点)で、それぞれ日本代表入りを決めた。
世界金の自信胸に大貫
東京五輪代表争いに向けた第一関門。9月に世界フィールドアーチェリー選手権で、日本人初となる金メダルを獲得した大貫(サガミ)は5位で代表入りを果たした。

第1日の2回目に自己ベストの680点を出し、2日目終了まで2位に付けていたが、最終日に順位を落とした。大貫は反省を口にしながらも、「長丁場で体力的にきつかったが、どんなに(状態が)悪くてもここは通過しないといけない」と最後まで集中力は切らさなかった。
4月に右肩を痛め、海外遠征でも思うような結果が出せない中、世界選手権の快挙で一躍名をはせた。「ここぞという場面で集中力を高められるようになってきた。自分がどう打ったらいいかというのも、試合中に分析できるようになってきた」という。何よりも「海外でメダルを取れた。自分はできる」との自信を手に入れた。
幼少時に横須賀の「くりはま花の国」アーチェリー場で競技を始め、大学卒業後も横須賀の企業に入社。世界選手権から帰国後は「会う人、会う人におめでとうと言われ、うれしいですね」という地元のヒーローだ。
来年から五輪代表争いの正念場を迎える。「海外であろうと、どこでも自分のアーチェリーができるようにもっと突き詰めていきたい」。その覚悟は決まっている。
目標遂げた三本の矢
「3人でようやく入れた。僕の中で一番大きな目標だった」。代表入りを決めた田畑(県アーチェリー協会)は競技後、男泣きした。
田畑、大井(三菱電機)、大貫は2016、17年に国体2連覇を遂げたメンバー。3人そろってのナショナルチーム入りは初めてだ。
最年長31歳の田畑は並々ならぬ思いで闘っていた。これまで東海大の職員を務めていたが、転勤を打診され4月に退職。東京五輪という夢を追うため、「次の就職先もない。人生を懸け、貯金を切り崩してやってきた」と退路を断って競技に専念している。
県勢最高の3位だった大井も、社会人1年目の今季は苦しんだ。環境の変化で体調を崩したことがあり、フォーム改造もなじまなかった。それだけに「まずはひと安心」と笑みを浮かべた。
2年前、リオ五輪世界最終予選男子団体で切符を逃した大井は「自分の実力不足を思い知らされた。そういう意味でリベンジしたい」と言う。
苦楽を共にしてきた三本の矢の強固な結束力。田畑は「神奈川の3人で大きな夢を持ち、声を掛け合って切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と心を新たにした。