ライスボウル2連覇
神奈川スポーツ賞(3)アメリカンフットボール 富士通フロンティアーズ 黒星からチーム結束
スポーツ | 神奈川新聞 | 2018年11月1日(木) 10:36
ここ4年で3度の日本一に輝いた。国内のアメリカンフットボール界の開拓者となることを誓い「フロンティアーズ」と命名したチームは今、黄金時代を迎えている。
ことし1月3日の日本選手権、ライスボウル。前半こそ学生王者・日大の堅い守備に苦しめられる場面があったが、要所でQBキャメロンとWR中村のホットラインが機能し、流れをつかんだ。キャメロンがTDパスを3本通して37-9の快勝に導き、2年連続で歓喜の瞬間を味わった。
昨季のXリーグで唯一喫した黒星が、チームの結束を強くさせた。2017年10月1日。レギュラーシーズン第4節のパナソニックインパルス戦は序盤から失点を重ねると、最後まで攻守の歯車がかみ合わなかった。9-24の完敗だった。
主将のWR宜本はこの試合の経験を「勝つのが当たり前の中でぼろ負けし、チームが引き締まった」と振り返る。ベテラン樋田らの呼び掛けで、何度もミーティングを繰り返して克服すべき課題を洗い出し、そこからチームは再び上昇気流に乗った。
総勢70人超の大所帯。選手たちは仕事の傍ら、水、土、日曜の週3回の激しいトレーニングで肉体面や戦術面を磨く。毎年10人ほどが入れ替わるため、チームの戦術を浸透させ、さらにレベルを向上させるのは容易ではない。仕事と競技の両立、さらに「かわさきスポーツパートナー」として、地元の小学校訪問などの社会貢献にも精力的に取り組んできた。
現在、3連覇を目指している宜本はチームが共有する思いをこう語る。「純粋に好きじゃないと社会人になってまでプレーを続けない。こんなに面白いスポーツをもっと多くの人に知ってもらいたい」。フロンティアーズの挑戦は続く。
富士通グループのアメリカンフットボール同好会として発足。1985年に「フロンティアーズ」として正式にスタートした。創部3年目に社会人最高峰リーグ(1部)に昇格。創部30年目の2014年シーズンに日本一を決めるライスボウルを初制覇し、16、17年シーズンも日本一の栄冠をつかんだ。