藤沢市内の障害者スポーツ競技団体を統括する「市障がい者スポーツ連絡協議会」が今夏、誕生した。これまで市内に同様の組織はなく、2020年東京五輪・パラリンピックに向け、パラスポーツ普及のためのネットワーク構築や情報発信に力を注いでいく。同協議会会長の種田多化子さん(63)は「障害者スポーツ全体の発展のために尽力したい」と意気込んでいる。
市内では、さまざまな団体が、市の施設「太陽の家」(同市鵠沼海岸6丁目)の体育館を中心に、障害者スポーツに汗を流している。ただ健常者スポーツの種目別協会や体育協会のように統括する組織がなく、立ち上げを求める声が多方面から上がっていた。
約2年の準備期間を経て、8月に発足した市障がい者スポーツ連絡協議会は、市内のスポーツ団体や企業など11団体で構成。加盟団体の「神奈川湘南卓球クラブ」や「市アーチェリー協会」は、日頃から障害者と健常者が一緒に競技に打ち込んでいる。こうした経験を生かし、障害の有無に関係なく、パラスポーツを楽しめるイベントを開くほか、各種競技の見どころなどを紹介する機関誌の発行も計画しているという。
会長の種田さんは約30年前に右足の骨に腫瘍が見つかり、右足を切断した。「太陽の家でスポーツと出会い、体力を取り戻し、元気になることができた」と当時を振り返る。
この30年で障害者がスポーツを楽しむ環境は徐々に整いつつあるが、当事者に情報が十分に伝わっていない状況があるといい、種田さんは「小規模で活動する競技者や関係者ともつながりをつくりたい」と今後を見据える。
同協議会の発足式を、16日に秩父宮記念体育館(同市鵠沼東)で開かれる「ふじさわパラスポーツフェスタ」で行う。東京五輪でセーリング競技の開催地となる同市の鈴木恒夫市長は「20年に向け、パラリンピックに親しむ環境が広がり、一つのレガシー(遺産)になれば」と期待している。
フェスタに関する問い合わせは、実行委員会事務局電話0466(22)5633。