飛躍予感させる左腕
浜屋将太 三菱日立/投手
プロ12球団のスカウト陣が目を付け、調査書が届いた注目株だ。運命の日へ不安をのぞかせながらも、浜屋将太の意志は固い。「ずっと高卒3年目で行きたいと思って、照準を合わせてきた」
社会人野球でもまれる20歳左腕は今後の飛躍を予感させるシーズンを歩んでいる。今年の都市対抗大会予選で2試合に登板し、計9回2/3で防御率1・86の好投。本大会でも初マウンドを踏み「今年は大きな大会でも投げて役に立てて、大きな自信になっている」と着実に階段を上ってきた。
175センチと上背こそないが、力強い直球に加え、カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークボールを駆使する緩急で打ち取り、奪三振率が高いのも魅力の一つ。昨冬の下半身強化が実り「真っすぐの質が変わった」。最速は143キロから5キロも上がった。
心に刻む一戦がある。鹿児島の強豪・樟南高3年時に甲子園初出場。先発した2回戦の花咲徳栄(埼玉)戦、1-0の六回。2死から急に制球を乱し、3四死球が絡む4失点で崩れて逆転を許し「正直、相手の雰囲気にのまれてしまった。まだ実力が足りなかった」。苦い記憶を胸に前だけを見て心身を磨いてきた。
周囲の支えがあって今がある。最も感謝する相手は足つぼマッサージ師の母・幹子さん(55)だ。少年時代は疲労がたまると、体をほぐして癒やしてくれた。「プロに行けたら喜んでくれると思う」とうなずく。
目標の投手像はベイスターズのエース左腕、今永という。「空振りを取れる真っすぐ。憧れですね」。球界最高峰の真っさらなマウンドに立つことを信じ、吉報を待つ。
はまや・しょうた 鹿児島・樟南高-三菱日立パワーシステムズ。小学生の頃に兄の影響でソフトボールを始め、中学から野球に転向。高校3年時に甲子園初出場。社会人2年目の昨季から先発も任され、今年の都市対抗大会、今月末の日本選手権出場へ貢献した。175センチ、77キロ。20歳。
球史に名刻む投手に
宮川哲 東芝/投手
「勝つか、負けるか。白黒つけなきゃ、はっきりしない」。東芝の宮川哲はマウンドに立てば常に勝利への渇望を抱き、一球一球に思いを込めてきた。
右腕を力強く振り下ろし、最速154キロを誇るストレートで豪快にミット音を響かせる。その姿は力投派に見えるが、打者の手元で勢いよく落ちる変化球で空振りを誘う技術も巧みだ。
社会人野球の名門で先発を担い、日本一への期待を背負ってきた。