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プロサーファー 大村奈央
【Road to 2020 KANAGAWA】波への感覚研ぎ澄まし 

スポーツ | 神奈川新聞 | 2017年9月19日(火) 10:14

世界ツアーの合間に帰国した際は、ホームの鵠沼海岸で練習する=藤沢市
世界ツアーの合間に帰国した際は、ホームの鵠沼海岸で練習する=藤沢市

 3年後、日本にやってくる大きな波を心待ちにする女性アスリートがいる。12年連続でサーフィンの日本代表の座を守り続けている第一人者、大村奈央(藤沢市鵠沼藤が谷在住)。レジャーではなく、競技として注目されるスポーツに昇華させたい-。そんな野望を抱く24歳の視線は、追加競技に採用された2020年東京五輪に向いている。

 海から上がり、日本代表の仲間に迎えられると白い歯をのぞかせた。

 5月、フランス南西部のビアリッツで開催された世界選手権。史上最多の47の国・地域から約250人が参加した大会で、大村は日本人過去最高位の5位に食い込んだ13、14年以来、3年ぶり3度目となる準決勝進出を果たした。

 決勝には勝ち残れず7位に終わったものの、その表情は明るい。「世界トップクラスで戦える実力はあると分かった」。ボードを片手に海に飛び込んでから13年。世界の頂点を狙える位置までたどり着いたという手応えがある。

 知る人ぞ知る存在だ。

 11歳で競技を始め、わずか2年後に日本代表入り。清泉女学院高3年だった10年には国内プロリーグに参戦し、1年目の最優秀選手に贈られる「ルーキー・オブ・ザー・イヤー」だけでなく、年間グランドチャンピオンにも立った。両タイトルを獲得するのは史上初めての快挙だった。

 多くの友人が大学に進む中、高校卒業後は迷わずプロサーファーの道へ。活躍の舞台を国外へと移し、今は海外ツアーを転戦する日々を送っている。


 サーフィン競技は、20~30分の試合時間に複数の選手が交代で波に乗り、技のダイナミックさを競う。鋭いターンなどは高得点につながり、どれだけ波の際で難易度の高い技を決められるかが鍵となる。

 身長180センチ台の選手が多い欧米勢に比べると、身長153センチの大村は極めて小柄だ。パワーで劣るとみられがちだが、本人は「自分のサーフィンは力強さが特徴。陸に上がると『こんなに小さいの?』と驚かれる」と笑う。

 確かにそのスタイルは力強い。

 波の崩れ際に全体重を乗せて、180度ターンする「オフザリップ」では派手な水しぶきを上げ、大柄な欧米選手に決して引けを取らない。進行方向から急に折り返す「カットバック」でのターンは他の選手よりも鋭い。

 高校卒業後から、大村のトレーナーを務める竹田和正さん(49)は「一つの波で複数の技を決めるバランス感覚、それを支える体幹の強さ、足首の柔らかさがある。だけど、そんな選手はごまんといる。奈央の強さは独特の感性にある」と話す。

 フランスに旅立つ前、大村は他メディアの取材に対し、こう答えている。

 「どんな波が来るのか感覚を研ぎ澄まして、海と会話したい。海と仲良くして集中したい」

 限られた時間でいい波に乗るためには、波や地形を読む力が重要となる。ビアリッツは初めての試合会場だが、感覚はさえていたという。

 「4回戦まではどのラウンドも波を見極められて、その波に合った技がぴたっとはまった」。4人中上位2人が勝ち残れるトーナメントで4回戦まで高得点をたたき出し、ライバルを引き離した。

 大村に専属コーチはいない。「波に乗って、きょうは『かっこ良く乗れたな』という感覚でやってきた」。練習は雑誌やDVDを見ながらの独学だった。

 竹田さんが言う。「彼女は一人でここまで登り詰めた。相当な練習量があったはずだが、それにより培った感覚や感性は揺らがない」


 世界トップ選手の仲間入りを果たした今、最も楽しみにしているのが東京五輪だ。「夢にまで見た舞台だから」と目を輝かす。

 1960年代、駐留米国人が湘南の海で波に乗る姿を模倣して広まったサーフィン。世界に3500万人の愛好者がいるとされているが、日本ではいまだスポーツではなく、ファッションやカルチャーとしての側面が根強い。

 だからこそ、4年に1度の祭典はまたとない機会と捉えている。「レジャーとしてでなく、海外のように競技として注目されるスポーツにしたい。私が結果を残すことで盛り上げられる」

 現在、スポンサー14社と契約。自らもツイッターやフェイスブックといった交流サイトで魅力の発信に努める。

 「13歳で世界大会に参加したとき、各国のトップ選手のサーフィンを見て『かっこいい』と思った。五輪で活躍することで、そんな風に思ってもらえたらうれしい」。そして、こう続けた。

 「金メダルが欲しい。もっと強くならなきゃ」

おおむら・なお 11歳でサーフィンを始め、13歳で世界プロサーフィン連盟のワールドプロジュニアの日本代表に選出。以来、12年連続で日本代表を務める。2010年に17歳で国内プロリーグに参戦し、1年目の最優秀選手に贈られる「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」と年間グランドチャンピオンの両方を史上初めて獲得。13、14年のサーフィンの世界選手権では日本人最高位の5位に入った。清泉女学院高出身。藤沢市鵠沼藤が谷在住。24歳。


「東京五輪では金色のメダルが欲しい」と意気込む=藤沢市
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