
ベンチプレス競技の世界王者で、日本記録保持者でもある小林ナオコさん(47)=平塚市在住=が、ボディービルに転向し8月の県大会で女王に輝いた。最も美しいポーズが選ばれる「ベストポーズ賞」も受賞。厳しい減量に打ち勝ち、「パワー」から「魅せる」筋肉への変身を遂げた小林さんは「まずは日本のトップを目指したい」と鍛錬にいそしむ。
ベンチ台の上にあおむけになり、胸の上でバーベルを持ち上げるベンチプレス競技で、輝かしい実績を残してきた。昨年5月に南アフリカで開催された世界選手権を制し、11月の国内大会では日本記録を更新。やり尽くしたという達成感が挑戦の心をかき立てた。
「ベンチプレスで世界は取ったので、他の競技に関心があった。ジムでトレーニングをしていると他の選手がポージングをしているのが楽しそうに見えた」。昨年12月、ボディービルへの道に進んだ。
自己の体重の2倍以上を一気に挙げるベンチプレスから、体全体を鍛えて筋肉の美しさと量が求められるボディービルへ。切れのある肉体をより一層際立たせるためには、脂肪を落とす減量が不可欠だった。
大好きな菓子パンやチョコレートは週1回に我慢。鶏ささみや、ドレッシングをかけないサラダ中心の食生活は「体調が良くなったけれど、好きなメロンパンなどが食べられないストレスを感じた」と苦笑する。
それでも「鍛えるたびに体の形が毎日変わっていくのが楽しかった」。ことし7月に計測した体脂肪19%はわずか1カ月で9%に。平日は毎日のように1日2時間ほどのトレーニングをこなし、5キロの減量に成功した。
自己節制を貫き、8月の県大会の「ミズの部」で出場6選手の頂点に立った。小林さんが通うジム「チャンピオン平塚」の川村耕二代表(59)は「いずれ日本代表、世界で戦える選手」と賛辞を惜しまない。
ブラジル・パラナ州出身の日系3世。2001年に同市に移り住み、永住権を得たが、国籍の関係でことしの全国大会への出場権は認められなかった。「日本のトップ選手になれるよう一歩一歩進んでいきたい」。全国デビューの日を待ちわび、日々努力を重ねていく。