全国高校総体(インターハイ)第10日は6日、宮城県の大崎市鳴子スポーツセンターなどで8競技が行われ、相撲の団体は金沢学院(石川)が10年ぶり2度目の優勝を果たした。決勝は2連覇を狙った鳥取城北を3-2で破った。
重量挙げの94キロ級は西田裕(長崎・西彼農)がトータル283キロ、105キロ級は沢登健太郎(山梨・日川)がトータル295キロで制した。105キロ超級は福山草生(愛媛・新居浜南)がトータル267キロで優勝した。
神奈川勢はボートかじ付き4人スカルの女子で横浜商が3分41秒14で3位。男子の慶応は4位に食い込んだ。
重量挙げ94キロ級の岡裕智(法政二)はスナッチが123キロで2位、ジャークが151キロで4位となり、トータル274キロで3位に入った。
相撲団体の向の岡工は決勝トーナメント2回戦で愛工大名電(愛知)に1-4で敗れた。
スタートの出遅れ響く
目指していたのは優勝だけだった。ボート女子かじ付き4人スカルの横浜商(Y校)は3位に入ったが、「1位が欲しかった…」と、クルーの目には涙があふれた。
スタートの出遅れが響いた。想定以上の1艇身差。それでも、レース後半の強さがY校の持ち味だ。中盤、じわりとその差を詰め、先頭まであと一歩に迫った。「もっとY校らしさを出せていたら、差せたかな」とはコックスの田中。黒沼も「狙えない距離ではなかった」と悔しがった。
昨年は6位。唯一の2年生として出場していた関は目を潤ませる。「去年の先輩と優勝するって約束していたのに…」。他県の強豪とは異なり、陸上でのトレーニングがメイン。走り込んだり、マシンをこいだりして力を蓄えてきた。
大会1カ月前から手作りのボードをつくり、カウントダウンをしながらその日の練習のポイントを書き記した。「我は強いけど、みんなで言いたいことを言ってお互い高め合ってきた」と主将の柴田。心を重ねて臨んだ大舞台だった。
「自分が力を出せなかったからだと思う」。そう言って顔を覆った2年の荒井の気持ちを推し量り、柴田は言った。「悔いがないと言えば違うけど、みんなで精いっぱい力を出し切れた」。願った色とは違ったが、全員でつかみ取ったメダルだ。
滝川「力出し切れた」
ボート男子シングルスカル準決勝で敗れた滝川(横浜商)は「決勝進出までわずかの差。悔しいけど自分の力は出し切れた」と前を向いた。
高校から競技を始め、走り込みや手の皮がめくれるほどの厳しいトレーニングを重ねてきた。「後半の粘りが持ち味」と誇る17歳は「何度もやめようと思ったけど続けてきて良かった」と集大成の夏を終えた。 (宮城県登米市)
ボート男子、慶応4位
ボート男子かじ付き4人スカルの慶応は4位。「悔いはない」と主将の朝日は言い切った。
準々決勝は3組で2位通過。「このままで大丈夫かなという雰囲気が流れたけど、気持ちを切り替えてきた」。迎えた準決勝では見違えるオールさばきを見せ、前日に敗れた相手を下した。
だが、その勢いを決勝の舞台には持ち込めなかった。前半好スタートも「やっぱり優勝するっていう気持ちが前の3艇と比べると足りなかったのかな」。スタミナが切れた終盤、メダル圏内から離脱した。
他の上位校と比べ、体格や身体能力に秀でた選手はいない。それでも、春の全国選抜大会で5位、そして夏はまた一つステップを上がった。
胸を張るキャプテンの傍らで勝野も言葉を合わせる。「取りえでもある頭を使ってしっかり話し合うことを意識してやってきた。最高の経験ができた」
重量挙げ94キロ級、岡(法政二)3位
「スナッチもジャークも1キロずつベストを更新できた。でも、あと一つメダルが欲しかった」。重量挙げ94キロ級の岡は喜びと無念を口にした。
スナッチで123キロを挙げて2位に入ると、続くジャークが勝負だった。2回目で150キロに失敗。最終3回目に選択したのはさらに1キロ重い151キロだった。
「151キロを挙げないと3位には上がれないと言われていて。頑張るしかないなと」。気合を込め、足もぴたりと止めた。「きれいに挙げられたかな」。これまでの限界を超え、会心の表情でガッツポーズした。
中学までは、腕っ節と足腰の強さを柔道や相撲に生かしていた。先輩に誘われて始めた重量挙げ。向かう相手はスケールアップしていた。「敵は重力、重りは仲間」。地球に闘いを挑み、新たな“仲間”を増やしていった。
この日挙げたトータル274キロは県高校新記録。もちろんそれでは止まらない。「昨年の国体で2位で、今回は3位。次の国体では1番を狙えるように頑張りたい」。挑戦は続く。
相撲団体、向の岡工8強ならず
相撲団体の向の岡工は決勝トーナメント2回戦敗退。愛工大名電(愛知)戦は1-2の劣勢から副将石塚、大将松村が連敗し、最大のライバルと対戦する前に足をすくわれた。
勝ち上がれば前年王者・鳥取城北と準々決勝でぶつかる組み合わせ。5月の金沢大会4強の向の岡工にとって、是が非でも倒したい相手だったが、清田英彦監督(38)は「目の前の一戦一戦に集中しなければいけないのに、鳥取城北を意識するところが選手にも伝わってしまったかな」と責任をかみしめた。
主将の檜野は仲間をねぎらい、「相撲は実力だけではない。団体戦ではチームの雰囲気も大事な要素。後輩たちにはこの経験を糧に切磋琢磨(せっさたくま)してほしい」と飛躍を託した。