「最強決定トーナメント」のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級準決勝(18日・英グラスゴー)に向けた公開練習が14日に行われ、ともに無敗の井上尚弥(大橋)とエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)は軽いシャドーボクシングのみで手の内を隠した。
両者とも上着を脱ぐことなく、わずか数分でリングを下りた。世界ボクシング協会(WBA)チャンピオンの井上尚は「相手の試合は(映像で)見ている。今ここで何かを隠しても変わらない」と冷静に語り、国際ボクシング連盟(IBF)王者のロドリゲスも「重圧はない」と万全を強調した。
一方、リング外では陣営同士が早くもヒートアップした。井上尚の父真吾トレーナーがロドリゲスの練習をスマートフォンで撮影すると、それに相手陣営が怒って小突くなどピリピリしたムードが漂った。
真吾トレーナーは「相手はナーバスになっている。それだけ余裕がない証拠」と精神面の差を指摘した。
この日で本格的な練習を打ち上げた井上尚は減量も順調で、体重はリミットに近いという。英大手ブックメーカーの予想では圧倒的な本命だが「オッズほどの簡単な試合にならないと思う」と気を引き締めた。
難敵攻略に「距離大事」
ファイナル進出を懸けた強敵・ロドリゲスとの一戦が近づく。「同世代でアマチュアのキャリアを含め、いま乗っている選手だし、これまでで一番じゃないですか?」。渡英前の今月3日、井上尚は公開練習の場でそう口にしていた。