合わせて177歳の夫婦ボウラーがいる。横浜市青葉区に住む岩田行夫さん(91)、恭子さん(86)夫妻。健康づくりにとどまらず、スコア向上も目指している。長く続く秘訣(ひけつ)は「互いのペースで、程よい距離感を保つこと」と笑顔で口をそろえる。
全国517のボウリング場が加盟する日本ボウリング場協会がまとめた最新版の長寿番付によると、月1回定期的に利用する高齢者夫婦の中で、岩田さん夫妻は県内最高齢。全国でも4番目に当たる。
2人が週2回以上向かうのが、同市都筑区の港北とうきゅうボウル。行き帰りは、いつも一緒だ。「大勢の人と話し合いながら楽しんでいる」。今でも教室でプロから学び、リーグ戦にも出場する。一日4ゲーム以上投げる日もある。
1958年に結婚し、2人の娘に恵まれたが、ボウリングとはあまり縁がなかった。
先に始めたのは行夫さん。40歳を前に自宅近くのボウリング場でテレビ番組の収録があり、女性タレントとプロボウラーがプレーするのを興味本位で見に行った。「自分もできるかもしれない」。早速、投げたらストライク。爽快感にはまった。週末は通い詰め、勤務する会社の大会で3年連続優勝するほど腕を上げた。
恭子さんは行夫さんのプレーをいつも後ろで見ていた。子育てが一段落し、行夫さんから「一緒にやらないか」と誘われるたびに、「ボールがピンに届かないから」と断っていた。目覚めたのは50歳のころ。試しに投げたら、当たるし楽しい。行夫さんから突然、ボールと靴をプレゼントされ、本格的にのめりこんだ。
2人それぞれに横浜市の大会などで優勝し、自宅には賞状やカップが並ぶ。中には、人気キャラクターの大きなぬいぐるみも。長女(56)が大学生時代、行夫さんとペアを組み優勝して贈られた景品だ。
行夫さんは退職直後、腸を患って入院し、半年間ボウリングから遠ざかった。やめようかとくじけそうになったが、医師から続けることを勧められた。「以来、大病はない。感謝しています」
夫婦一緒の趣味に周囲もうらやましがるという。恭子さんは「ボウリングをすることで人生の楽しみが増えた。病気とも無縁です」と話し、行夫さんは「100歳になっても妻と一緒に続けたい」と笑った。