
陸上の世界選手権代表選考会を兼ねた日本選手権第1日は23日、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われ、県勢は男子棒高跳びで荏田高出身の江島雅紀(日大)が5メートル50で2位に入り、女子1万メートルでは堀優花(パナソニック)が5位。女子走り高跳びの中村紗華(伊志田高)は1メートル70で15位に終わった。
男子の100メートルは18歳のサニブラウン・ハキーム(東京陸協)が予選3組、準決勝2組で日本歴代6位の10秒06を2度マークして24日の決勝に進んだ。参加標準記録も突破した。
2連覇を狙うケンブリッジ飛鳥(ナイキ)は予選を10秒08で通過し、準決勝1組では10秒10の1着。同組の桐生祥秀(東洋大)は10秒14の2着で通過した。多田修平(関学大)は準決勝2組で10秒10の2着、山県亮太(セイコーホールディングス)は10秒31の4着で決勝に進出した。
1万メートルは女子で松田瑞生(ダイハツ)が31分39秒41で初優勝し、初の代表入りが決まった。昨年覇者の鈴木亜由子(日本郵政グループ)が2位に続いた。男子は大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)が28分35秒47で2連覇した。
女子100メートル市川華菜(ミズノ)、福島千里(札幌陸協)らが予選を通過し、決勝に進んだ。
男子の400メートル予選では北川貴理(順大)、400メートル障害予選では小西勇太(住友電工)前野景(ドーム)鍛治木崚(城西大)が参加標準記録を破った。
★着実に前進 充実感も
優勝にはあと一歩届かなかった。「悔しい。いけたと思ったんだけど」。男子棒高跳びの江島は5メートル50で敗退。とはいえ2位だ。着実な前進に充実感もまたあった。
鬼門は自己ベストより1センチ低い5メートル60だった。2回連続で失敗して迎えた3回目。スタンドのコーチからポールの変更を提案された。
「初めてコーチから勧められたので、相当体が流れてるんだなとは思ったんだけど…」。首を振り、手になじんだポールを貫いたが失敗。「練習ではあのポールでクリアできていた。修正しようと思ったけど技術がまだなかった」。2度目の日本選手権は幕を閉じた。
目指していたのは世界選手権の参加標準記録の5メートル70。最終的に20センチ届かなかったが、5メートル30から3本連続でクリア。「1本で決めていけたし、特に5メートル50の時は自分でもびっくりした」。不可能な高さではないと印象付けた。
リオデジャネイロ五輪7位で、日頃からコーチとして師事する沢野と表彰台に並び立ったのも感慨深い。「今日は師弟関係というよりライバル。憧れであり倒さないといけない選手。同じ舞台で表彰台に立つのは目標だった」。第一人者の背中はグッと近づいている。
「課題は自分で分かっている。7月のアジア選手権で(5メートル)70以上跳んで優勝して、気持ちよく世界選手権を決めたい」。飛躍の夏はすぐそこだ。
★中村、右足痛も健闘
女子走り高跳びの中村(伊志田高)は自己ベストより1センチ低い1メートル74をクリアできず15位。先週の南関東高校大会で右太ももを痛め、助走のスピードを落とした中での記録に「この状況でここまでくることができたので自信になった」と納得の表情だ。
一度も練習できないままの試合だったという。「棄権するつもりだったけど、試合に出るだけでも勉強になった。大学生がいる中でも(雰囲気に)のまれずに跳ぶことができた。少し休みながら夏に向けて調整します」と中村。得がたい経験とともに夏の全国総体へ向かう。
★青木は後半巻き返す
女子400メートルで相洋高出身の青木(東邦銀行)はスタートの出遅れが響き、予選1組で4位。タイムで救われ辛くも決勝に進んだが、「前回準優勝というプレッシャーは自分が思っている以上に大きかった。フライングかと思って一瞬集中力が切れてしまった」と反省しきりだった。
後半に巻き返し、54秒49でフィニッシュ。「スタートのミスと気持ちの焦りがある中で目標タイムを出せたのは良かった」とし、「決勝ではきょうの反省を生かして上位争いに食い込みたい」と切り替えていた。