全国高校総体(インターハイ)の予選を兼ねた陸上の関東大会南関東地区予選会最終日は19日、千葉県総合スポーツセンター陸上競技場で行われ、今大会から正式種目となった女子三段跳びで中村紗華(伊志田)が自身の県高校記録を更新する12メートル56で頂点に立った。
女子砲丸投げでは大迫晴香(平塚学園)が13メートル90で円盤投げとの2冠を達成。女子1600メートルリレーでは相洋(高島咲、合田、田井、高島菜)が3分42秒17で連覇した。
男子三段跳びは石川龍佑(藤沢西)が2位、今季の全国高校ランキング1位の泉谷駿介(武相)は3位だった。
男子円盤投げでは山本一樹(橘)が2位、福島将太(磯子)が3位で続き、女子3000メートルの吉村玲美(白鵬女子)、同七種競技の本多美沙(橘)もそれぞれ2位に入った。学校対抗では男子の武相が7位、女子は相洋が7位となった。
進化求めた試み奏功
確信とともに、ビッグジャンプから舞い降りた。女子三段跳びは中村が12メートル56で先月の県総体に続いて自身の県高校記録を塗り替えて優勝。表情豊かなジャンパーは満面の笑みで両手をたたいた。
進化を求めた試みが奏功したという。今大会から助走の距離を4メートル延長して35メートルにした。「それがしっくりはまった」とジャンプのスピードが増した。力強い跳躍とともに過去の自らを超えた。
4月に県高校新をマークしてからライバルは自分自身だと言い聞かせてきた。だから、疲労がたまっても前に進める。
今大会は初日の走り高跳びで3位に入り、3日目には1600メートルリレーの予選も出場。「右の前ももが硬くなっていて走るのも辛かった」と明かすが、「そこで勝たないとインターハイで勝てない」。苦しみを乗り越えるからこそ破顔できる。
最終6回目の試技ではスタンドに手拍子を促した。「男子がやっていていいなあと思って」と、自らにプレッシャーを掛けて跳んだ結果はわずかにファウル。それでも、さらなる記録更新への余韻を残した。
女子三段跳びは、インターハイでは今夏から正式種目となる。狙うのは当然、初代女王として歴史に名を刻むことだ。「誰も超えられないくらいの記録を出して(走り高跳びと)二冠します」。夏空にはじけんばかりの笑みを咲かす。
無心の逆転優勝
大迫(平塚学園)女子砲丸投げ
ドラマは最終盤に待っていた。女子砲丸投げは大迫が6回目に13メートル90をマークし逆転。円盤投げとの2冠を達成した。
5回目を終えて13メートル59で2位。インターハイはほぼ確定圏内だったが、13メートル97の県高校記録を持つ2年生は、実力を出し切らずに終わるつもりはなかった。
「1位になりたいとかではなく、自分の力を出せればいいかなと思った」。無心で投じ、感触はいまひとつだったというが、理想的な弧を描いた。「自然とガッツポーズが出ちゃった」。驚きと喜びが交錯した。
円盤投げでも全国優勝に期待が掛かるが、主軸に据えるのは砲丸投げだ。「砲丸が投げられたら円盤も自然と伸びる。基本は砲丸」。競り合いの中で生まれた好記録に自信はさらにみなぎる。
昨夏の全国総体は2種目とも決勝に残れなかった。雪辱の思いで挑む2度目の夏。「14メートル50くらいいきたい。今年は決勝でどれだけ出せるか」。全国2冠の称号は手の届くところにある。
新たな伝統へ覚悟
連覇の相洋女子1600リレー
経験がなくても牙城は崩さない。女子1600メートルリレーは1、2年生で組む相洋が連覇した。
抜きつ抜かれつの混戦で第3走者の田井が一人抜いてトップでアンカー高島菜へ。2位東京の足音が迫る中、前日の予選でマークしたベストを更新する好走だった。
絶対的エース青木りん(東邦銀行)を擁した昨年は大会新を樹立し、インターハイでも3位。新チームにその経験を知る者はいなくとも、矜(きょう)恃(じ)は受け継がれている。
「相洋にはリレーの伝統がある。自分たちが小さなころからつないできているものを、途切れさせることはできない」と高島菜。合田は「インターハイでは先輩たちの記録を抜きたい」と新たな伝統を紡いでいく覚悟を示した。
吉村が自己ベスト
女子3000メートルは吉村が2位に入り、優勝には及ばなかったものの9分27秒49で自己ベストを更新。3位だった1500メートルに続く入賞に「1500メートルは順位も、タイムも目標に届かず悔しさが残っていた」と喜びをかみ締めた。
2年生にとってインターハイは未知の舞台だが「1500、3000の両方とも決勝に残り、来年勝負できるようしっかり経験を積んできたい」と足元を見詰めた。
山内快走、4位入賞
男子3000メートル障害では