全日本大学野球選手権第3日は7日、神宮球場などで2回戦6試合が行われ、51年ぶり出場の立大(東京六大学)初出場で国立大の和歌山大(近畿)などが準々決勝に進んだ。桐蔭横浜大(神奈川)は3-4で東海大北海道(札幌)に敗れた。
桐蔭大は一回、田越のソロ本塁打で先制。五回には敵失と暴投で2点を追加したが、3-2の七回に東海大相模高出身の赤尾の2ランで逆転を許した。
立大は0-2の七回に大東の同点2ランなどで6点を奪い、6-2で富士大(北東北)を下した。和歌山大は貴志が1失点で完投し、4-1で岡山商大(中国)を破った。九産大(福岡六大学)は四国学院大(四国)に2-1でサヨナラ勝ちした。
8日に神宮球場で行われる準々決勝は上武大-和歌山大、九産大-国際武道大、岐阜経大-東海大北海道、立大-天理大の顔合わせとなった。
悪夢の始まり「ミス」から
1点を追う九回2死三塁。代打の主将高橋が放った飛球が三塁手のグラブに収まると、ドームの歓声はため息に変わった。桐蔭横浜大の日本一への挑戦はまたしても道半ばについえた。
中盤までは理想的な展開だった。一回に田越の先制ソロ、五回には敵失に乗じて2点を追加した。だが、その裏。四回まで1安打に封じていた2年生エース三浦が被弾すると、歯車は徐々に狂っていく。
七回1死だった。遊撃後方への飛球を外野手が見失い、二塁打としてしまう。慣れないドーム球場とはいえ、1回戦でも見られたシーン。春季リーグでも打ち勝って10連勝した中で、課題と認識してきた「記録に残らないミス」が出てしまった。
思わぬピンチを招き、「動揺してしまい、自信があるストレートが決まらなくなった」と重圧を感じた三浦は1死一、三塁となったところで降板。救援した右サイドスローの平田も流れを押し戻せず逆転2ランを浴び、「今は正直(打たれた)理由が分からない」とうなだれた。
「(守りのミスに)いつもの悪い癖が出た。走者が出て三浦もプレッシャーを感じてしまったんだろう」と齊藤博久監督(51)。
「守備のミスから試合を崩した」。桐蔭学園高時代から熱いハートを前面に出してきた主将高橋はこらえきれずに涙した。「練習を積んで絶対に戻ってきます」。糧とともに秋の明治神宮大会に向けて再出発する。
赤尾が逆転V弾 東海大相模出身
東海大北海道のルーキー赤尾が逆転2ラン。東海大相模高出身の長距離砲は2-3の七回2死一塁でスライダーを引っ張り左翼席に運び、「打った瞬間にいったと思った」と笑みを浮かべた。
高校2年夏には1学年上の小笠原(中日)らとともに全国制覇を経験。背番号74のスラッガーは、今春のリーグ戦で3本塁打し、この日は1回戦の東洋大戦に続く2打点と勢いに乗る。
高校時代のチームメートが関東の強豪大学に進む中、北海道へ進んだ。「入ってくる情報は本州の大学のことばかり。自分も存在感を示したい」と仲間の活躍を刺激に、北の大地で大きく育っている。
立大松崎が飛球好捕
51年ぶり出場の立大は横浜高出身の松崎が貢献。九回には中堅手が見失った飛球に右翼から飛び込んで好捕し、スタンドを沸かせた。
今春、二塁から外野にコンバート。2打数無安打に終わった背番号4は「終わりよければ全てよし」と苦笑しつつ、「打撃でしっかり貢献しないと」と気を引き締めた。(東京ドーム)
楠、先制タイムリー
富士大は東海大相模高出身の楠が気を吐いたが逆転負け。六回に先制タイムリーを放ち、「東都、六大学の投手から打つ目標を達成できたのは良かった」としながらも、喜びはない。
七回に一挙6失点。向上高出身の鈴木が3番手で登板したが押し止められなかった。鈴木は「緊張もあったしメンタルの部分が足りない」と反省した。 (東京ドーム)