50ccエンジンを搭載した1人乗りの車で、ガソリン1リットル当たりの燃費を競う「第5回かながわエコカー競技大会」が28日、横須賀市の日産自動車追浜工場内テストコース「GRANDRIVE」(1周約1・6キロ)で行われた。
中学生から社会人まで県内外の13チーム18台が参加。平均時速25キロ以上を保ち、コース10周の燃費で争うという条件の下、12台が完走した。
平塚工科高社会部が、1211・38キロ/リットルで2連覇。2位にはTeam nizmo(日産自動車座間事業所)が、3位には産業短大ワンリッターが入った。特別賞には、宮前平中Aチームが輝いた。(晴れ、気温32度、湿度70%)
◆経験と技術生かし快走
アクシデントにも負けない、ドライバーの落ち着いた走りで、平塚工科高が2連覇を飾った。
チームに突然の赤信号がともったのは、スタート直後。燃費を争う大会で肝とも言える速度計が故障した。そんな緊急事態を救ったのは、ハンドルを握る山田だった。
速度計がとりわけ必要とされるのはコーナー前後の加速時だ。1周約1・6キロの楕円(だえん)形のコースで、コーナーの入り口では時速約20キロまで落とし、出口で同約35キロにまで加速するのが好燃費への秘訣(ひけつ)。
速度計があっても難しい作業だが、山田は「みんなの声が聞こえたし、2度目の大会で落ち着くことが大切だと知っていた」と正確なペースを維持。余分にアクセルを踏むことなく、2位に300キロ/リットル差をつけて走り切り、レース後に故障を知った周囲からは驚きの声が漏れた。
安定した走りは「先輩たちと造ってきた車体を信じていたから」(山田)とも。13年前にソーラーカーの開発を始め、その技術を生かしてエコカーレースに参戦してきた同校。寝かせたロケットを思わせる車体の底面は、地面からわずか約1・5センチ。車体上面でも約50センチしかない。重さ約35キロのボディーに白澤敏広監督(49)は「軽量化はこれ以上できない」と胸を張った。
記録こそ昨年を超えられなかったが、山田は「故障があって課題も分かった。もっと低燃費で、速い車ができるはず。この経験を来年に生かしたい」と次のゴールを見据えた。
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