「スマホ廃人」(石川結貴著、文春新書)というショッキングなタイトルの本を先日読んだ。子どもからお年寄りまで、便利なスマートフォン(スマホ)を手放せない人が増えている。その中で起きている深刻な問題を取り上げている。
特に驚いたのが高校生のスマホ利用の実態だ。本書によると、1日の利用時間は男子が5時間近く、女子は6時間に及ぶ。日本小児科医会などは今年2月、青少年のスマホの使い過ぎに対して、睡眠時間や体力、学力、視力、脳機能、コミュニケーション能力への悪影響を指摘するポスターを作製した。
ある女子高校生は無料通信アプリLINE(ライン)の交流サイトグループに50以上登録し、メッセージ交換を繰り返す。短文投稿サイトのツイッターや画像共有アプリ「インスタグラム」の仲間もいる。
スマホの登場によって、これまで以上に子ども同士の人間関係は広がった。その一方で、排除されたり、悪口を書き込まれたりする「スマホいじめ」を恐れて、絶えずコメントやメッセージを送信するという。
スマホの普及は、スポーツ界にも影響を与えている。あるボクシングジムの関係者は「素質がある子を厳しく育てようとしても『あそこのジムは楽でいいよ』などと子ども同士で情報交換し、つらくなるとすぐに移ってしまう」とこぼす。
だが、プレー中のフォームをスマホで撮影してすぐに確認や共有化をするなど、使い方によっては有用なツールにもなる。
もはやスマホなしの社会は考えられない。現実の使われ方をしっかりと認識し、できるだけマイナス面を取り除いてスマートに利用する努力が必要だろう。