コラム「コーナーキック」/“天敵”から復活ゴール
スポーツ | 神奈川新聞 | 2009年10月8日(木) 00:19

開始2分。両軍を通じて最初のシュートが、”天敵”徳島ゴールをいとも簡単にこじ開けた。決めたのはFW中村。一切の無駄を省いたこの決定力こそ、中村の中村たるゆえんだ。
MF坂本に再び並ぶチームトップの12ゴール目は、徳島ゴール正面約25メートルからの豪快なミドルシュート。「いい風が吹いていたし、前を向けたらシュートを打とうと思っていた」。FW田原のポストプレーでもくろみ通りに前を向くと、小刻みなドリブルでコースを見極め、思い切りよく右足を振り抜いた。
開幕第4節のプロ初ゴールから順調に得点を重ねた中村は、快進撃を続けたシーズン序盤の文句なしの立役者。だが、夏場に調子を崩し、7月8日の甲府戦以来ゴールから遠ざかっていた。
「自分は点を取ってなんぼ。一番ゴールの近くにいるのに点を取れず、それでも出させてもらってる。その葛(かっ)藤(とう)の中でトレーナーに手を貸してもらいながら、工夫を続けてきた」。23歳のゴールハンターが、苦しみ抜いた末に出した18試合ぶりの答だった。
復調なった中村の右足が、チームを再び上昇気流に乗せるか。「これを持続させるためには練習。そうすれば結果はついてくる」。若者らしからぬ落ち着き払った中村節も戻ってきた。
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