第64回国民体育大会「トキめき新潟国体」最終日は6日、加茂市勤労者体育センターでボクシングを行い、神奈川勢は少年で3階級制覇、準優勝1人と好成績を収めた。
決勝を判定で制したライトフライ級の井上尚弥(新磯高)、ライト級の内藤律樹(磯子工高)、相手が棄権したミドル級の漆原祥(武相高)がそれぞれ初優勝。フェザー級前回王者の井上浩樹(新磯高)は準優勝だった。
◆ 適応力見せた内藤 (ライト級)
リング中央でガードを上げ、短いレンジで左右のフックを振る。それは内藤(磯子工高)本来のスタイルではなかった。
少年ライト級決勝で、第1ラウンドから打ち合いを狙う相手の挑戦をあえて受けた。「そう来るならこっちも行くぞ、という気持ち」。本来のアウトボクシングを捨て、インファイトでガードを崩す。離れ際のストレートは的確に顔をとらえた。
元東洋ミドル級王者の父、カシアス内藤さん(60)もリングサイドから声援を送った。判定ながらポイントで10―0の完勝。しっかりと握手を交わし「父にいいところを見せられてよかった」と笑顔を見せる。
素質に恵まれながらも、ことしまで大きなタイトルに縁がなかった。父と比較され「つらいこともあった」。しかし地道な練習で出入りの速さとパンチの回転に磨きをかけ、3月の全国選抜、8月の全国総体で優勝。無敗のまま高校3冠を成し遂げた。
そんな息子を父は「土壇場で強くなった。ちょっと成長してきたかな」とたたえる。「いつかはプロで世界王者。でもその前にアマで金メダルを」と話す内藤。父譲りの優しい瞳で、大きな夢を見据えていた。
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