
フィニッシュラインに飛び込んだ直後、110メートル障害を制した古谷拓夢(相洋)は思わず苦笑した。風速を表示するパネルには「+2・8」の数字。追い風参考記録で高校2年の日本記録(14秒14)を塗り替えることはできなかったが、14秒09で制した圧巻の走りは、会場をどよめかせるのに十分だった。
「前半から突っ込んだ走りができた」との言葉通りに、決勝は序盤からリード。183センチの長身を生かした大きなストライドで後続をぐんぐんと引き離し、そのままゴールを駆け抜けた。
「14秒前半が出せるとは思っていなかったので、正直うれしい」と顔をほころばせる。昨年10月の関東選抜新人大会で14秒50で高1歴代記録を樹立。指導する銭谷満顧問(47)は「風がなくても、このタイムを出す実力がある」とうなずき、本人も「昨年よりフォームも良くなった」と成長を実感する。
勝因はスピードとリズムという。ハードル間の歩数を3歩と決めて練習し、決勝では狙い通りに「刻めた」という。
「スタミナを試したかった」(銭谷顧問)と選出された1600メートルリレーでもアンカーとして優勝に貢献し、400メートル障害との3冠を達成。「全国高校総体(インターハイ)にいけるよう、(110メートル障害と400メートル障害の)両方で上位に食い込みたい」と健闘を誓った。
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