
競泳の世界選手権(7~8月・バルセロナ)代表選考会を兼ねた日本選手権第2日は12日、新潟県長岡市のダイエープロビスフェニックスプールで行われ、男子100メートル背泳ぎは18歳の萩野公介(東洋大)が派遣標準記録を突破する53秒10で初優勝した。ロンドン五輪銅メダルの入江陵介(イトマン東進)が53秒33の2位で、萩野とともに代表入りを決めた。
萩野は200メートル自由形も派遣標準を切る1分46秒28で制して代表となり、400メートル個人メドレーと合わせて今大会3冠。松田丈志(コスモス薬品)は0秒84差の2位だった。
女子100メートル背泳ぎは寺川綾(ミズノ)が日本記録に0秒01と迫る58秒84で優勝。400メートル個人メドレーを制した18歳、大塚美優(日体大)とともに代表入りした。
県勢は、女子200メートル自由形で日大藤沢高3年の五十嵐千尋(横浜サクラ)が優勝し、400メートル自由形との2冠を達成した。女子50メートル平泳ぎで日大藤沢高出身の金指美紅(東洋大)、女子100メートル背泳ぎで川崎北高出身の赤瀬紗也香(日体大)がともに3位。男子1500メートル自由形で湘南工大付高出身の滝口陽平(中大)は5位だった。
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五十嵐がまたしても快挙を成し遂げた。
11日の女子400メートル自由形に続き200メートル自由形も制し、初の大舞台で2冠。表彰台では、ロンドン五輪のメドレーリレーで銅メダルに輝いた上田春佳(キッコーマン)と、同五輪代表の高野綾(イトマン)を従え、中央に立った。
前半100メートルで、トップの上田とは0秒34差の4位。徐々に追撃態勢を整えながら2位で後半150メートルをターンすると、ラスト50メートルでついに上田を捉えた。0秒93差。メダリストの手より先んじた。
しかし、プールサイドに上がった表情は、初舞台を踏んだ高校3年生のそれではなかった。
「最低でも(1分59秒45の)高校記録を更新したかった。人を見ながら泳ぐべきではない。自分からもっと積極的にいかないと」。自己ベストを更新する1分59秒50にも落胆の色が濃い。
実は「上田さんについていこうと思った」という。メダリストを意識し過ぎたレース運び。五十嵐は「大事なところでしっかりタイムを出しておきたかった。悔いが残る」と反省する。
目標はあくまでも日本代表。13日に100メートル自由形、14日には50メートル自由形がある。「世界選手権(の代表入り)に懸けてきた。全力で頑張りたい」。17歳が追い求める頂は、もっと高いところにある。
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